レポート

2016交流支援プログラム レポート01 NPO法人土方巽記念秋田舞踏会→糸島芸農実行委員会

2016.08.17


AAFネットワーク独自の交流支援プログラム、2016年度、1番目のレポートです。


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<開催概要データ>

[企画名]「暗黒舞踏ノヨル  12夜 スペシャル版」

[実施日] 2016615 (水)

[招聘者]糸島芸農実行委員会【福岡県糸島市】

[訪問者]NPO法人土方巽記念秋田舞踏会【秋田県秋田市】


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<レポート>

1部 【朗読と解説―病める舞姫5章】19:00-19:30

創作ダンス:朗読「病める舞姫」に寄せて「ちぎれているみみず」今野かおる

朗読:「病める舞姫5章」土方巽記念秋田舞踏会朗読メンバー

解説:「同上  1部」佐藤正和、佐藤みつ子、大村田鈴子、米山伸子 

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8回目をむかえた朗読劇「病める舞姫」。

今回は5章前半をメンバー7人で上演しました。私たちがありきたりに思い、見過ごしている日常の情景や人々の感情。土方巽という稀有の天才的芸術家が掴み取り見せてくれる世界を自分なりにイメージしながら、朗読の間に朗読者自らが解読するという試みを初めて取り入れてみました。7人の出演者のうち、4人がチャレンジしました。できるだけリアルに当時の状況や登場人物の感情や空気感などを伝えようとすると僅か5行位の文章が50行位になるほど沢山のイメージが詰まっていて、慣れない事もあり、たどたどしい部分もありましたが、みんな自分の言葉で語りつくしました。

大澤寅雄さんからは「しつっこい位、細部にこだわって解読していく様子が、手塚夏子がダンスを創作していく過程と一緒の感じで新鮮な感動を覚えた」と感想を寄せられました。


2部 ダンス「私的解剖実験―3  リクエストバージョン」19:30-20:00

コンテンポラリーダンス:手塚夏子

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会場の参加者からのリクエストに応え、手塚夏子さんが感じたイメージをパフォーマンスするという設定で行われました。初めてみるダンススタイルと手塚夏子さんの想像を超える身体反応に目を見張りながら会場は大きな興奮に包まれました。

手塚夏子さんがご自身のフェイスブックにアップされた文章を引用させて頂きます。

〈秋田では秋田弁で土方巽の『病める舞い姫』を朗読する会の方々の発表のあと、『私的解剖実験-3 秋田バージョン』みたいな感じのことをやりました。体に対する指示を命令してもらうのに加えて秋田で生きてきた中で「故郷の記憶だなあ」と実感するようなことを喋ってください、ということをお願いしたのですが、朗読をされてる方がいたこともあってとても積極的に参加してくださり、体への指示も私が配った指示リストにないことや、リストにある命令文をどんどんアレンジしたり、質問を投げかけたりと、主導権がどんどんどんどん見てくださる方の方に傾いていきました。その初めての感じが私を瀬戸際まで追い詰めつつ快感で満たしました。今でもその余韻がずっと私の中にあります。ジャカルタでやった時とは違った混沌秋田バージョンでした。故郷の記憶としてはやはり雪にまつわることがとても多く、誰かが話すとみんな大きく頷いたり、会場全体がとても生き生きした空間になっていきました。秋田の人々はすごかった。秋田弁はある時期とてもネガティブなものとして学校でも直された時期があったり、それでもなくしたくないという思いがあったりということをお聞きしました。そしてそれが朗読にもつながっていました。普通に暮らす秋田の人々が土方巽を通して自分の土地の記憶を手探りする。それは『病める舞い姫』がメディアとして現代に、未来に役割を持ち続けている凄みでもあるのかもしれません。〉


3部 クロストーク「ローカルにおけるアバンギャルドの役割」20:10-21:00

パネリスト:大澤寅雄  (文化生態観察)、手塚夏子  (ダンサー、振付家)、佐々木久春 (現代詩詩人・秋田大学名誉教授) 、森下隆  (慶應義塾大学アートセンター)、米山伸子 (NPO法人土方巽記念秋田舞踏会)

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テーマは大澤寅雄さんから提案されました。

「ローカルにおけるアバンギャルドの役割」と題したクロストークは大澤寅雄さんから糸島芸農の「発酵する地平」のキャッチコピーの由来の説明から始まりました。

「流したり、運んだり出来ないまま、堆積する排泄物を発酵させることで、何かが生まれるのではないか」という発想からつけられたいう事でした。

冬は雪に閉ざされ、一方は海、三方を山に囲まれ、隣県との交流がほとんどなく、高度成長以降、若者は出ていくばかりで、入ってこない。進歩とか改革とかとは無縁のまま、取り残されたように人口減少が進む秋田県ですが、それ故に樽の中で酒や味噌が発酵するように、密閉され、停滞することで、味わい深い、独特の文化を育んできたのでは・・という議論に展開しました。土方巽の芸術は秋田という培養土で萌芽し、中央の文化が触媒になって開花したものかもしれません。


「進歩すること、変化することで失うもの、損なうものが手つかずで残っている。土方巽の芸術に通じるDNAが秋田の人と土地にはあるように思いました。世界中がネットでつながるグローバルな現代。地方にいてもアバンギャルドな活躍は出来る」と大澤さんの言葉を受け止めています。

とても興味深いテーマで白熱した議論が展開されました。参加者からはもっと話を聞きたかったという声が多数寄せられました。

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<タイムテーブル>

2016615 (水)

19:00-19:30 1 【朗読と解説--病める舞姫5章】

19:30-20:00 2 ダンス「私的解剖実験--3  リクエストバージョン」

20:10-21:00 3 クロストーク「ローカルにおけるアバンギャルドの役割」



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<執筆者プロフィール>

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米山伸子 Yoneyama Nobuko

1940 9月秋田市生まれ、秋田市泉住

秋田北高校卒 葬儀会社経営を経て、占い師。

2013年、土方巽記念秋田舞踏会を立上げ、事務局、会長を経て

20163月法人化後は理事長、趣味 絵画