- 2008-07-18 (金) 14:57
- レポート
デザインの領域でものづくりのお仕事を手掛けながら、働き方研究家として作り手の多様な仕事のあり方を観察してこられた、西村佳哲さんに「アート」という枠組みを超えた、何かをつくる、伝えるために大切なことについてお話しいだきたいという想いで、今回AAF学校へのご登壇をお願いしました。
毎回、講師の方にご提出いただいている「アートプロデューサーに必要な資質とは?」については、
1)存在
2)関係性
3)情報
3′)リスペクト
4)環境
5)自分の仕事
と、5つの項目をご回答いただきました。
この5つの項目を選んだ理由について、西村さんご自身がこれまで一緒に仕事をなさってきたプロデューサーのエピソードなどをまじえながらお話いただき、1つの項目が終わるごとに受講生3名で構成されたグループで、その内容について気がついたこと、感じたことを話し合いました。
以下、講義で話されたことから、箇条書きでまとめました。
–
1)存在
・担当者の器以上のものはつくれない。
・若い頃、大きな会社との仕事をやるのが嬉しかったけど、会社に憧れて入った人は、いつまでもファン。その器の中でしか仕事ができない。
・社長プロジェクトとよばれる、社長が直接動くものは上手くいくといわれる。これはなぜか
ー直感を頼りに判断している。
ー自分自身で判断している。
ーリスクをとっている。
ートラブルが生じたとき、問題を追及する。
ー代案を持っている。
・社長と直接仕事をしていく時には、プロデューサーは介在していない。建て主と大工がいれば家は建つ。では、なぜ中間人材ープロデューサーが必要なのか。そうした目で、プロデューサーを見てみると、その必要性がわかるのではないか。
2)関係性
・PRとは、「プロモーション」ではなく、「パブリック・リレーション」のこと。
・どのように社会と関係を持っていくか。関係の中でモノが届いていく。「つくる」ことはできるけれど、「届ける」までが大きな仕事。
・ハイコンテクストな状態。みんなが何を大切にしているかがわかっているという状態を創り出すことが大切。
3)情報
・全く新しいアイデアではなくて、既にあるものの新しい組み合わせをどうやってつくるか。組み合わせ以前に、情報が必要。
・いろんなものを組み合わせて、あるベクトルがかかった瞬間にまとまる。
・プロデューサーのほうが、作り手よりも情報量をもっているという場合が多い。情報をどうやって開示し、シェアしていくかが大事になる。
3′)リスペクト
・プロデューサーの人は、依頼があると、企画書をつくる。例えば、アーティストのWEBサイトをはりつけて、提案する。その段階で話しをしてくれる人もいるし、全く言わない人もいる。アーティストやデザイナーにどのタイミングで話しをするか、ということは非常にデリケートなこと。
・作り手をネタや商材や労働力としてみないということは、非常に大切。それが真ん中に立つ人間にとって一番大切なこと。
4)環境
・箱、人手、食事。を提供してくれた、益子スターネット、オーナーの馬場さん。
お金をもってくるのではなく、環境を提供してくれるというプロデュースの仕方もある。
・食事が美味しいというのは、コミュニケーションの条件。つまりそうした環境の提供によって、パブリックリレーションの場となり得た。
5)自分の仕事
・働き方研究家として、さまざまな仕事場に行き始めたのは、大きな会社の仕事のやり方しか知らなかったので、見てみたかった。ヨーガンレール・象設計事務所・柳宗理、パタゴニアなどさまざまな仕事場を見た。全員、他人事の仕事ではなく、自分自身の仕事をしていた。
・やり方が違うから結果も違う。目指すやり方を可能にするための、方法や環境をつくっている。
・これは他の人に譲れないという仕事をやっている人は輝いている。
–
受講生同士の話し合いの時間をしっかりと設けながらも、アートやデザインといったジャンルを越えた、根源的なお話が伺えたように思います。
他人事ではない、自分自身の仕事をつくっていくということは、同時に自らの生きる姿勢をも現すものなのだということを改めて考えさせられる時間になりました。(遠藤 綾)
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