島町映像フェスティバル

島町映像フェスティバル〜映像がつなぐ島町の過去と未来とコミュニティ〜」のモニタリングにうかがってきました。主催するひょうたんからKO-MA!の藤田さん、映画監督の長岡さんにお話を伺いました。

1)近江八幡と島町、権座
2)ほんがら松明ドキュメンタリーとコミュニティ
3)子ども映画ワークショップ原一男ワークショップ

1)近江八幡と島町、権座
近江八幡といっても、本プロジェクトのフィールドは、島町(地元では島学区と呼ばれている)ということだったので、朝近江八幡についたら、藤田さんと待ち合わせの時間まで、近江八幡の旧市街地をチェック!
八幡堀は、一時期水質も悪くなり埋め立ても検討されたけれど、地元青年会議所の声で、再生されたというエピソードから、宮崎駿監督の実写ドキュメンタリー映画「柳川堀割物語」を連想しましたが、奇しくも八幡堀も柳川も荒れたのが昭和45年ごろだそうです。水辺で営まれる暮らしが遠いものになってしまって、大きなものを失くしたような気がしました。ただ、近江八幡の旧市街地は、堀や江戸末期の町並みが素敵な一方、食事ができるお店や土産物屋がほとんどなく、さらには旅館なども見当たらないのが気になりました。

ダッシュで旧市街をチェックし、ダッシュで近江八幡駅に戻り(風情ゼロ・・・)、で藤田さんと合流し、いよいよ「島学区」を案内していただきました。
2006年に「権座水郷コンサート」の会場となった、いまもなお田舟でしかいくことができない田が存在する、「西の湖(にしのこ)」に浮かぶ島状の飛び地「権座(ごんざ)」については、コンサートのサイトが詳しいのでそちらをご覧ください。http://gonza.xii.jp/
この「権座」に連れて行っていただきましたが、開いた口がふさがらないというくらいの見慣れぬ風景でした。チチカカ湖には、浮島の上で生活している人がいるということですが、この「権座」の水田は、びっくり。最近まで、メインの交通手段が「舟」だったという地域は、押し寄せる水のイメージ。琵琶湖の迫力の影響下の地域ということで、自分が育った関東とはまったく違った風景は、強烈に”異文化”を意識させられました。

2)ほんがら松明ドキュメンタリーとコミュニティ
AAF2007参加企画の「ほんがら松明」再生のドキュメンタリー映画を撮影したメイン会場の若宮神社、近くの大嶋神社・奥津嶋神社とご案内いただき、ここでまたびっくり。
大嶋神社・奥津嶋神社は、なんと1800年以上の歴史があるとのこと!「旧市街地」は400年くらいしか歴史がないので、ここ「島学区」のすごさが分かります。そうこの地域は、「田舎」などではないのです!東京の方がはるかに「超ド田舎」(千葉はさらに田舎デス)。「松明」とは、キャンプファイヤーに点火とかするあれではなく、トーテムポールのような巨大なもので、集落の若者が集まってそれぞれの集落で趣向を凝らした松明をつくり、春のお祭りで点火するというものです。なかでも、島町の「ほんがら松明」は、構造が複雑で、点火も難しいために作られなくなり、50年ほど途絶えていたのを今回再生したとのことでした。「ほんがら松明」を再生するプロセスで町のお年寄りが采配を振るい、お祭りの本番までをドキュメンタリー映像とすることによって、さまざまな人の声を集め、人のつながりを再構築することになったとのことでした。コミュニティに丁寧によりそう創造のプロセスは、それ自体が大きなパワーを持つ”場”になるということが再認識させられました。

3)子ども映画ワークショップ
映画監督の原一男さんを講師に迎えた映画ワークショップでは、中学生を中心に、近江八幡のまちを舞台にしたオリジナルストーリーの映画を製作中です。
原さんのワークショップでは、中学生が相手でも、いっさいの妥協がなく、空気がゆるむと原監督の怒号が飛び、子どもたちが経験したことがないような緊張感あふれる現場になっているとのことでした。子どもを対象にしたプロジェクトを手がけた方ならお分かりだと思いますが、現代の子どもはとにかく忙しい。部活・塾・お稽古事などなど。そんな中で、この子ども映画ワークショップは、緊張感あふれる創造の場で、子ども一人ひとりの個性が最大限に活かされるとともに、高度な「チームワーク」が要求される映画作りという創造のプロセスが大きなうねりとなりつつあるこということです。

ほんがら松明ドキュメンタリーと子ども映画ワークショップで共通しているのは、「怒鳴るオヤジ」かも、などというお話を、藤田さん、長岡さんとしました。この「怒鳴る」というのは、個人的な不満の発露などではなく、かたや火を燃やす現場、かたや映画製作の現場と、ちょっとでも気が緩むとと大事故になったり作品ができなくなってしまう危険がある現場の緊張感を高め、関わる人の注意を喚起する行為としてのものです。私たち市民がこのような怒号が飛び交う緊張感あふれる共同作業の現場から排除されてきたのが、現代の歴史ではなかったのか、などということを思いました。すぐれた創造の場を作り出す、ひょうたんからKO-MA!の皆さまの丁寧なマネジメントが際立つプロジェクトでした。

アートプロジェクトは、「地域の人と人をつなぐ」という効果が認められつつありますが、中世からのナレッジが現代までつながる「島町映像フェスティバル〜映像がつなぐ島町の過去と未来とコミュニティ〜」を見ると、「歴史をつなぐ」という役割も非常に重要なものだということが認識されました。

藤田さん、長岡さん、お忙しいところ、ありがとうございました!(検証チーム・下山)

report070819.jpg
バックナンバー
2008.02.21
AAF2008ネットワーク会議レポート
2007.12.20
AAF2008公開ヒアリング
2007.11.12
AAF2007報告会を開催しました