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コラム 2015.09.20

#51 加藤さとみ(合同会社 モッコ)


私は、一年に一度、自分がこれまでどうだったかを振り返る日というのを持っています。もちろんそんなに大げさではなく、ただぼんやり思う程度のことですが。
それがスタートしたのは2010年8月1日のこと。お昼休みに外へ出ると、そこではイベントが行われていました。様々なキャラクターに扮した人達がポーズをとり、その様子をカメラにおさめるという光景を横目に、ふと『三年後、私はどこで何をしているのだろうか』と思いました。もしかすると、この日私が参加していた(あいちトリエンナーレ招聘作家の)制作の手伝いと、イベントで繰り返される〈今〉を切り取る光景とがあいまって、そんなことを思ったのかもしれません。

ところで、私にとって記念すべき2010年8月とは、愛知県で第一回目のあいちトリエンナーレが開幕した年です。《都市の祝祭 Arts and Cities》と題し、美術館を中心に名古屋市内の各地で最先端の現代アートが展開されました。当時、仕事の傍ら名古屋市美術館でガイドボランティアをしていましたが、初めて特別展を任せてもらえるキャリアになったので、迷わずトリエンナーレ担当を希望しました。というのも、美術館のガイドは楽しかったのですが、自分がまだ産まれていない頃につくられた作品にはそれほど興味がわかなかったからです。

トリエンナーレの期間中、長者町会場の一角にはATカフェと呼ばれる場所がありました。そこはカフェの他に「あいちトリエンナーレ サポーターズクラブ」という組織の事務局もあったため、様々なイベントが行われていました。とにかくなにもかもが新鮮で楽しかったので毎日通っていました。そのうち「Arts Audience Tables ロプロプ」の前身団体である「トリ勉(トリエンナーレ勉強会)」の運営に参加することになり、実際に作家にコンタクトをとり、イベントを企画するなどいろいろな活動を経験しました。さらにはトリ勉と同じように活動していた「長者町まちなかアート発展計画」にも関わらせてもらいました。
こうしたことがきっかけで、徐々にアートに関わることを仕事にしたいと考えるようになっていきました。

私は、『作家とお客さんをつなぐ間にいるけど、ちょっとだけ作家寄り』というポジションにいたいと思っています。それは、自分と同じ時代を生きている作家が何を見て、何を考え、何を作品に落とし込んでいるのかを直に知りたいから。なので、将来はアーティストのレジデンス施設を作りたい、といろいろなところで会う人みんなに話をしてきました。途中、思うように仕事をすることができずに転職するなど悩んだ時期もありましたが、今は望んだ環境に少しずつ身をおけるようになりました。そういえば、その節目になったのは2013年8月でした。その後は慌ただしい毎日を送っていますが、チャンスやご縁を大切にしながら楽しんでいます。

こんな今があるのは、AAFに参加させてもらったからと言っても過言ではありません。本当にたくさんの人に出会うことができました。
そして、これまで知り合いになった団体さんをはじめ、いろいろなところでお手伝いをさせてもらうことで、その組織がどういった形で動いているのかを知ることができました。いまある交流プログラムが、イベントのお手伝いやインターンのようなしくみに発展していってもおもしろいなと思っています。

さて。
2010年はきっかけの年となり、2013年は停滞からの脱出の年となりました。
来年の2016年の私はどこに住んでいて、どんな仕事をしているのやら。


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加藤さとみ KATO Satomi
1974年 名古屋市生まれ。合同会社モッコ代表。
Arts Audience Tables ロプロプ(2011年〜)の立ち上げに関わったのを機に、本格的に〈アートを仕事に〉を目指し、各地のアートプロジェクト等の手伝いをしながら住まいを転々とする日々を送る。
AAFに関する活動としては、名古屋のArts Audience Tables ロプロプ(2012年より参加)/倉敷のグリーンファブラボ玉島β(2014年より参加)/横浜のProject YSEMI実行委員会(2015年より参加)の運営にそれぞれ携わっている。
2015年7月にアート系のマネジメント会社 モッコを設立。