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レポート 2015.09.11

2015交流支援プログラム レポート05 ワオンプロジェクト→BEPPU PROJECT


2015年、5番目のレポートを紹介します。

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<開催概要データ>
[企画名]別府わくわく交流プロジェクト
[実施日]2015年7月23日(木)~25日(土)
[招聘者]NPO法人 BEPPU PROJECT【大分県別府市
[訪問者]カタヤマアキコ​(一般社団法人 ワオンプロジェクト【大阪市北区】

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<レポート>
​BEPPU PROJECTは2005年4月創立。別府・国東での国際芸術祭、全てが大分県内でつくられている商品を企画販売するOita Made、大分ガイドブック作成、platform制作事業等、多角的に展開するNPO法人である。
2015年春、代表理事である山出淳也さんのお話を大阪で聞く機会があり、苦労話等を含めとても印象に残りもっと知りたいと思ったのが、BEPPU PROJECTを訪ねたきっかけである。ワオンプロジェクトは現在9年目を迎えており、10年を大きな節目と考えてることからも、10年以上続き大きく発展していることにも関心があった。

 別府駅から徒歩すぐのところにあるBEPPU PROJECTの事務所は、広いオフィス空間。約15名のスタッフは若く活気がある。
BEPPU PROJECT神田真巳子さんに引率され、まちを歩きながらBEPPU PROJECTが関わっているスポットを紹介いただく。いくつもあって話が尽きない。スタッフの方々も皆別府が大好きでBEPPU PROJECTの活動や別府の魅力を伝えたい気持ちが大きいと感じた。

 芸術祭の多忙な時期に伺うからにはスタッフに一番近い立場で体験し、一緒に過ごすのがBEPPU PROJECTを知り交流するには一番だということで、ばんだいさん(混浴温泉世界ボランティア)をすることとなった。場所は、アーティストによるお化け屋敷が開催されている永久別府劇場「恐怖の館」。芸術祭となるとピンとこない地元の方々は未だ多いようだが、お化け屋敷は子供から大人までが訪れる。また、おばけ役のボランティアも集っていて、こどもたちがお化けとなって出演。こういう形で芸術祭に参加できるのもいい。怖いながらもパフォーマンスの芸術性も感じられる内容なので、多世代に対して芸術に触れるきっかけとなっている。
お客様の応対を手伝いながら、パフォーマーの様子や公演を拝見したり、スタッフの皆さんと話したりしながら過ごした。あっという間だった。入場のタイミングや休憩の時間配分など、お客様とパフォーマーの間に入って細かな気配りをすることは、ささいなことだけど大切だなと再認識した。

IMG_0140eikyu.jpg
恐怖の館・永久別府劇場
 
「清島アパート」は、築約60年の元下宿アパート。アーティスト・クリエイターの拠点として7年前に生まれ変わった。共同生活で支え合うことができ、作品も披露するイベントを開催する機会もあり、いい場所だと思った。別府に移住するアーティストも増えているそうだ。ばんだいさんを一定条件するとここに滞在でき、アーティスト気分を味わえる。こういったボランティアのご褒美は嬉しい。

 「わくわく混浴デパートメント」は、混浴温泉世界2009で開催された「わくわく混浴アパートメント」のライブ感を大切にしつつ、デパート・トキハ別府店を会場にした展覧会。店内の大小数々な場所で展示が行われ、巨大なギャラリーさながらである。地域に愛されてきた歴史あるデパートで、ライブ感溢れる一見わけのわからない作品たちを感じるというギャップがユニーク。

 「ベップ・秘密のナイトダンスツアー」で、山出さんをはじめ多くのBEPPU PROJECTスタッフと同行することができた。山出さん曰く、混浴温泉世界の集大成である今年の目玉のひとつは、「アートゲートクルーズ」含めツアーだとのこと。普段入れない場所で、このツアーに参加しないと鑑賞できない作品があるという特別感があり、アート作品と、コンパクトでありながら歴史が残り、昔から多様なものを受け入れている心の広い別府のまち両方の魅力をより実感できるのが格別。

 市民文化祭「ベップ・アート・マンス」は、毎年別府市内で開催される、文化芸術にまつわる活動を幅広く紹介する市民文化祭月間。BEPPU PROJECTスタッフ、那木萌美さんのご堤案によりこの中のプログラム主催者をいくつかインタビューさせていただくことに。現在のワオンプロジェクトは市民活動に焦点を当てたものが多いため、この市民芸術祭には特に興味があった。88のプログラムがある中で時間が合い、より興味のある方々を訪ねた。
「別府竹細工」って何だろう? の佐々木智子さん。暮らしのアート講座「ichiba 市場的...PartⅢ」の別府中央市場「Gate Way Park」実行委員会 中野護さん。「将棋は純日本文化(カルチャー)!!」の将棋処と(ときん)席主とおにぎりかふぇ女将の白井ご夫妻である。
(他これから出展する方々を含むインタビューを別途記載するのでご覧になっていただけると幸いです。2015 month interview.pdf

IMG_2053ichiba.jpg
ベップ・アート・マンスのプログラムでの市場歩き

 那木さんがこれらのプログラムの、どのご事情も把握されていたことに感心し、またそれぞれに強い思いを持ちながら自主的に発表したいという方がこんなに別府にいる・集うことに感心し印象的でもあった。
観光客はもちろん地元の人に知ってもらうには、ベップ・アート・マンスという市民芸術祭は別府内外どちらから見ても効果的なようだ。チャレンジするきっかけの場としてもよく機能していると思う。BEPPU PROJECTに10年活動を続けてきた思いと実績による信頼、広報力の高さがあるからだと思った。
後で那木さんに伺った話によると、2009年の混浴温泉世界でのアンケート分析から県外客が多かったことと、自分たちも発表したいと考える人が多いという2つのことが判明した。そこで、自分たちが主体的に文化芸術活動に関わる場づくりをすることで、別府近郊の人々の混浴温泉世界への携わりが増えるはず、と考えベップ・アート・マンスを2010年より開始した。2012年混浴温泉世界とベップ・アート・マンスとを同時開催し「別府の魅力は、創造的な人があふれるまちであること」を県内外の人に印象づけることができたそうだ。確かにそういう印象を受けた。今後も続けてほしい企画の一つである。

また、「別府が好き、よりよくしたい」と思う共通の思いを持ちBEPPU PROJECTに魅力を感じ協力し、信頼しあえている人々がたくさんいると感じた。BEPPU PROJECTスタッフが手を離せない時にそういう方々がさりげなくフォローしご案内やお話いただけたことに感謝している。
その中のひとり、アーティストたちのお父さん的存在である通称ライスボール山本さんは有名。別府中心街から少し離れた浜脇地区にゆかりがあり、別府中心街から後述する「浜脇の長屋」まで、まちの歴史から浜脇の長屋オープン当初のエピソードまで、お話しながら引率していただけた。別府を去る直前に出会った際に「また帰って来いよ」とおっしゃったのには、ほんとお父さんだと感じた。

 スペース活用が最も気になることの一つである私が気になっていた「platform制作事業」は、交流人口を増やすというのが大切な目的なので、ハコの中身は時々の目的によって変えられているとの事。工房からショップまで、まちの空いているスペースを有効に使う手立ては色々あるのだ。
そのスペースの中のひとつ、「​​platform02 OitaMade Shop」 は今年2015年2月オープン。BEPPU PROJECTスタッフが常駐されている。
大分県内の原料で大分の人々が手仕事で仕上げる商品のみを販売、シンプルかっこいい店内レイアウトで、見やすく陳列されている。商品概要を掲示しているがお客様は全部読んでいられないことが多いので、なるべく直接お話するようにしているとのこと。彼らはとても楽しそうにエピソードを話されるので、このショップと商品とそれにまつわる方々のよさを感じることができる。会話しながら大分のよいものに触れ、手に入れることができるのは、お客さんも気持ちいいはずで満足感が高くなるだろうし、私も気持ちよかった。
​​platform04 SELECT BEPPU」にも、熱意のあるスタッフが常駐されている。今年はワークショップを開催するなど、より興味深いショップにすべく日々楽しみながら取り組まれている。
混浴温泉世界・芸術祭はよくわからなくても、これらのショップには来たことのあるご近所さんもいる。BEPPU PROJECTによるしかけは別府のあちこちにあり、地元にすっかり溶け込んでいると感じた。

IMG_1928Oita.jpg
 platform02 Oita Made Shop

「浜脇の長屋」は、アート作品に泊るというコンセプト。外見は普通の長屋で、中に入ると非日常が広がる。夢見心地である。ここは2012年にアーティスト廣瀬智央と改修された築100年の長屋。空いている住居をこういう非日常体験のできる宿にすることが増えたらいいな、是非増やしていきたいなと思った。

 今一番私が興味のある、みんなの表現のきっかけや場所づくりに繋がる市民文化祭やplatform制作事業はもちろん、大規模芸術祭である混浴温泉世界でもワオンプロジェクトの活動でのヒントは沢山あった。それはBEPPU PROJECTの活動が、山出さんのおっしゃっていた「市民による文化的活動と国際的美術家の作品が同じ土俵で語られるのが理想」という、市民にやさしく寄りそう活動だからかもしれない。
大分出身である那木さんに、困りごとはあるかと伺ったところ、「NPO団体として悩みはつきませんが、社会の理解を得て、文化芸術に触れ合う環境の保持および拡大に努めたいと思います」という真摯な言葉をいただいた。
大小色々なプロジェクトがあり、その多忙さは私には想像しきれない。でも地道に培っていくことが思いを実現していくことの何よりの早道だったりするのかなと思った。
BEPPU PROJECTの活動は多角的に展開されていると感じるけれど、全ては近しく「社会の理解を得て文化芸術に触れ合う環境の保持および拡大」という思いに繋がっている。
そしてこうしたことを実現するのに別府という土地柄や人が後押ししてくれる。時間はかかるかもしれないけれど、しかけをすれば受け入れられる、広がっていくまち。

それだけ皆が、自分のいる場所や出会い一緒に過ごす人に愛を持てるかどうか。
主体性を発揮しながら他者を受けいれていける環境となれるか。
そういうきっかけづくりを一見ありふれた場所、大阪の象徴的エリア以外でもしかけられたらと思い、地味に企んでいく。これからも。

 (山出淳也さん、那木萌美さんをはじめ、NPO法人 BEPPU PROJECTの皆様、また交流の機会をいただいたAAFネットワーク実行委員会と事務局の皆様に心よりお礼申し上げます。)​

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<タイムテーブル>
◎2015年7月23日(木)
12:00 BEPPU PROJECT事務局にて集合
12:30 別府の町と清島アパート案内
14:00 インフォメーションセンター​訪問​
15:00 ベップ・アート・マンスプログラム・「別府竹細工」って何だろう?に参加
18:00~20:00 アートゲートクルーズ参加後、清島アパートに滞在
◎2015年7月24日(金)
11:00 ​​platform04 SELECT BEPPU訪問
13:00 ​​platform02 OitaMade Shop訪問
15:00~19:00 永久別府劇場・恐怖の館にてばんだいさん(ボランティア)
20:00~21:30 ベップ・秘密のナイトダンスツアー参加
浜脇の長屋泊
◎2015年7月25日(土)
10:00 ベップ・アート・マンスプログラム・暮らしのアート講座「ichiba 市場的...PartⅢ」に参加
13:00 別府駅​​北高架下​訪問・​北高架下​フリーマーケット主催「ReNTReC.」訪問
14:00  ​p​latform05見学
15:00 わくわく混浴デパートメント見学
16:00 ベップ・アート・マンスプログラム・将棋は純日本文化(カルチャー)!!の将棋処と(ときん)&おにぎりかふぇ訪問
19:30 別府駅にて解散

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<執筆者プロフィール>
katayamaakiko.jpgカタヤマアキコ KATAYAMA Akiko
建築インテリア系キャリアをいかしながら、芸術文化や表現活動が皆の身近になるしかけを提案・実践中。「団地家 屋上流」茶会、かぐらぶ制作広報等。ワオンでは主に「クリエイティブアウォード関西」事務局として活動






一般社団法人 ワオンプロジェクト http://www.waonproject.com/