レポート RSS

レポート 2014.07.18

2014交流支援プログラムレポート01「温泉で温泉と温泉を考える」


AAFネットワーク団体のスタッフが各地で交流する「地域間交流支援プログラム」。活動拠点やその地域の空気にふれながら、たがいの現状をゆっくりと話し合い、アイデアやノウハウの交換を行うことができるように、と始まりました。
今年も20のプログラムが実施されます。
今年1番目のレポートは、NPO法人 BEPPU PROJECT(大分県別府市)を訪ねた「混流温泉文化祭実行委員会」(静岡県熱海市)の戸井田雄さんによるレポートです。

================================================
<レポート>

最初に、今回の交流支援プログラムの実現に際して協力いただきましたBEPPU PROJECTの皆様と、清島アパートのレジデンスアーティストの皆様に深く御礼申し上げます。
今回の交流プログラムの目的は、BEPPU PROJECTとの意見交換と今後に向けた連携の確認でした。
結果としては、自分たちの企画「混流温泉文化祭」の詰めの甘さが露呈し、連携以前の所での企画の見直しの必要性を痛感する機会となりましたが、新しい方向性を見出だすこともできましたので、非常に有意義な機会をいただくことができました。
一つ一つの内容に関しては、時系列を追ってレポートいたします。

◎5月21日(水)
別府滞在の初日にまずは今回の交流プログラムの最大の目的である、BEPPU PROJECT代表の山出淳也さんへのインタビューと、BEPPU PROJECTでアートマンスを担当されている那木萌美さんとの打ち合わせを実施させていただきました。
山出さんとはちょうど1年前の「こんにちは清島アパート」のイベントの際にご挨拶をして以来ですが、その際は本当に立ち話程度で、その時点では混流温泉文化祭の企画も、清島アパートのレジデンスアーティストである勝正光さんに熱海で滞在制作をしていただく程度のことしか決まっておらず、今回の企画をきちんとご報告できるのは今回が始めての機会でしたので、若干の緊張の中でインタビューが始まりました。

最初に混流温泉文化祭の報告をした後、今後の方針についてのご相談と、BEPPU PROJECTとの連携に関してのお話ができればと考えていましたが、お話の序盤で混流温泉文化祭の今回の企画趣旨に対して「軸」が定まっていないとのご指摘を受け、それ以後はインタビューというよりも、ひたすら運営や方針に関して質問をしてはアドバイスをいただく状況になり、「交流プログラムとしてこれで良いのか?」という自問自答と焦りを感じながらも、個人的には非常に充実した機会となりました。

Konryu_Beppu02.jpg

混流温泉文化祭は、その場に入り込んで作品を作る仕事が少なく、常に時間・場所・予算に追われているインスタレーション作家の現状と、実際のアートプログラムを通じた他地域との交流や、他地域での広報を希望している地域NPOの方々の要望が、ひょっとしたらマッチングできるのではないかという期待から生まれた企画です。
企画の上ではお互いの目的は一致し、メディアの反応も良かったために、この関係は成立すると考えていましたが、山出さんからは、「それはお互いがお互いの一部を利用しているだけで、企画としての目的と自身の理想を一度整理して明確にしないと、今後の発展や継続は困難になるのではないか」との指摘を受けました。
 
その日の晩に、今度はBEPPU PROJECTのアートマンスを担当されている那木萌美さんと、清島アパートレジデンスアーティストで混流温泉文化祭にも参加いただいた勝正光さんと食事をしながら、別府の現状について教わりながら、アートマンスに関してのご相談をさせていただきました。
その中で特に印象に残ったのが、2件目で入った大衆酒場元町バルも参加されていた「お店で出会えるアート【SHOP×ART】と【ART MEETS BEPPU】」で、来訪するたびに新しいことが動いている別府の面白さを再確認し、地元のアーティストが街の中でしっかりとフィールドを広げている状況は羨ましいと思うと同時に、非常に可能性を感じる機会でもありました。

◎5月23日(金)
「こんにちは清島アパート」に参加。「今年の入居者は平面・立体・パフォーマンス・映像と幅広いジャンルで、さらに平面でも鉛筆・油絵・日本画と多様なアーティストが、清島アパートという一つの受け皿の中で別府の街で生活をしながら制作を行う」。そんな話を聞いていると2009年の「混浴温泉世界」の際の清島アパートのイベントも思い出され、作品の質と同時に「数」というものの意義を考える機会となりました。

konryu_Beppu01.jpgKonryu_Beppu03.jpg
 
上記の内容に加えて、「ナガオカケンメイ×新見 隆トークイベント『大分県立美術館を語る』」の聴講、アートマンスに向けたフィールドワーク、the bridge見学、「道後オンセナート2014」視察、今後の熱海での取り組みのためにゲストハウス2件とコワーキングスペース1ヶ所の視察を行いましたが、そちらに関しては本レポートでは割愛させて頂きます。

 今回の交流プログラムは、混流温泉文化祭の次に向けた動きの一環として企画しました。結果としては次に向けて動くどころか、大きな見直しをする事態となってしまいましたが、企画の根底から振り返ることができたのは非常に大きな意義があり、この企画を支援してくださったAAFネットワークに深く感謝いたします。

------------------------
<開催概要データ>
[企画名]温泉で温泉と温泉を考える
[実施日]2014年5月21日(水)〜27日(火)
[招聘者]NPO法人 BEPPU PROJECT【大分県別府市】
[訪問者]混流温泉文化祭実行委員会(戸井田雄)【静岡県熱海市】

 ------------------------
<タイムテーブル>
◎2014年5月21日(水)
 10:00〜 山出淳也氏 インタビュー
 19:00〜 アートマンス打ち合わせ
◎2014年5月22日(木)
 09:00〜 アートマンスに向けたフィールドワーク
 13:00〜 大分県立美術館トークショー
 16:00〜 the bridge 見学(ゲストハウス「ゲストハウス別府」見学兼宿泊)
◎2014年5月23日(金)
 17:00〜 「こんにちは清島アパート」
 23:50〜 夜行フェリーにて別府から八幡浜(愛媛)に移動
◎2014年5月24日(土)
 12:00〜 「道後オンセンナート」見学(ゲストハウス「藤屋」見学兼宿泊)
◎2014年5月25日(日)
コワーキングスペース「ダイアモンドクロス」見学

 ------------------------
<執筆者プロフィール>
toidayuphoto.jpg
戸井田雄 TOIDA Yu
1983年神奈川県横須賀市生まれ。2008年武蔵野美術大学大学院修了。静岡県熱海市を拠点にアーティストとして活動しながら、2014年より多地域交流型のアートイベント「混流温泉文化祭」の実行委員会委員長としても活動を行う。