レポート RSS

レポート 2013.12.16

2013交流支援プログラムレポート05「アートによるまちづくり活動交流会」


AAFネットワーク団体のスタッフが各地で交流する「地域間交流支援プログラム」。活動拠点やその地域の空気にふれながら、たがいの現状をゆっくりと話し合い、アイデアやノウハウの交換を行うことができるように、と始まりました。
2013年、5番目のレポートは、「神山アーティスト・イン・レジデンス実行委員会(KAIR)」(徳島県神山町)を訪ねた「船坂里山芸術祭推進委員会」(兵庫県西宮市)の岡田安紀子さんによるレポートです。

================================================
<レポート>

夏の終わりを告げる少し冷たい雨の降る日、私たちは徳島の神山町へと向かった。今回神山町へと向かったのは船坂芸術祭推進委員会のメンバー総勢29名。恐らく交流支援プログラム史上最多人数の移動ではなかっただろうか? AAFの企画で交流支援があることを委員会で話をしたら、「我も我も!」と参加希望者がふくれあがった。参加希望者の大半を占める地元住民はもとより、代がかわっても活動を続けてくれている学生ボランティアの熱意に、同じ有志として頼もしいものを感じた。

今回交流支援先を決めるにあたって大きく2つのことを重視した。一つは長期にわたって活動を続けていること。そして2つ目はアートのみならず多角的に地域活性を行っていること。
神山町の取り組みはそのどちらにも当てはまり、今やメディアにひっきりなしに取り上げられるようになっている、まさに地域再生のカリスマ的存在である。私たち船坂からすれば学ぶことはたくさんある。が、果たしてこの交流を受け入れてもらえるのか...?と少し(かなり?)不安はあったが、快諾を得ることができた。

しかし、交流の日程を決めるにあたってこちらが予想を上回る大人数で伺うことに加え、すでに神山町では2013年度のアーティスト・イン・レジデンスが始まっており多忙を極めているということもあって、今回の訪問は意見交換会のみ行うという少し残念なものとなってしまった。

山深い谷を越えて私たち一行が乗ったマイクロバスが神山町に到着したのは午前10時過ぎ。今回の交流の窓口になってくれていた神山アーティスト・イン・レジデンス実行委員会(以下:KAIR)の工藤桂子さんが温かく出迎えてくれた。会場である神山町農村環境改善センターにはその日テレビ局の取材班もきており、到着早々神山町の人気ぶりを目の当たりにした。

そんな多忙な中、私たちの訪問を受け入れてくれたのはKAIRの会長、杉本哲男さんと先述の工藤さん。なにぶんこちらは29名の大所帯なので、ただ闇雲にお互いの話を...というような感じでは進む話も進まないと考え、事前にこちらの質問事項をまとめた資料をお渡ししておいた。交流会は全体的にその質問書に回答してもらうというような形で進んでいった。

kamiyama1.JPG
その質問事項の中でもやはりこちらの注目は今年で15年目を迎えるというKAIRの活動実態だ。
規模は違えど2009年より毎年活動し続けてきた船坂にとって、続けることの大変さは承知している。5年間がむしゃらに走り続けてきた今、船坂はいろいろな意味でのターニングポイントにさしかかっている。昨年度のビエンナーレは展示会場が拡大され招聘作家が50名近くに及んだ。多くの作家を招聘することにより一人にかけられるサポートは手薄となり、そのことが地元住民や参加作家の間に波紋を呼ぶ結果となった。
対してKAIRの取り組みは1999年の開催当初から3人のみの作家と限定しており、しかも回を重ねるごとに手厚いサポート体勢へと変化している。毎年100人前後の応募作家があるというのを聞くだけでその人気が伺える。作家の選考方法、作家の受け入れ態勢や旧来の住民との関係など、これから船坂が見直していかなければならない問題は山積だが、今回のKAIR訪問でその糸口が少し見えてきた気がする。

またこのアーティスト・イン・レジデンスがきっかけとなり、神山町では移住交流支援や起業家招聘など、的確に町おこしに繋がっているところにも我々の関心は集まった。神山に比べて船坂での地域活性化の動きはまだ始まったばかりだが、地域住民の高齢化は着実に進んでいく。船坂に若者を呼び込むための魅力ある再生活動とは一体どんなことなのか? 私たちの心に深く響いた交流会だった。

交流会を終えた後、特産品ビジネスの参考にすべく神山町「道の駅」を見学した。特産のすだちをアピールした商品の数々や杉の木の加工品など、ここでも学ぶことは沢山。ここで得たことを持ち帰り、どうフィードバックしていけるのかが、今後の船坂の成長に関わってきそうだ。

kamiyama2.JPG
今回KAIRの方達とお話しした中で非常に印象的だったことが「お遍路文化」というものだ。ここまで神山が活性してきた理由の一つとして、この地には外のものを取り入れるお遍路の背景というものが大きく関与しているのだということが理解出来た。外部のものを快く受け入れるという姿勢。この文化が町おこしの色々な活動の潤滑剤になっていると私は感じた。

最後に、私たち船坂としては非常に実りの多い訪問となったが、KAIRの皆さまにとって同じであったか...といえば全く自信はない。ただ今回の縁をきっかけに、また日を改めて再訪したいと思っている。そのときは是非宴会付きでのお付き合いをよろしくお願いします!

kamiyama3.jpg
------------------------
<開催概要データ>
[企画名]アートによるまちづくり活動交流会
[実施日]2013年9月7日(土)
[招聘者]神山アーティスト・イン・レジデンス実行委員会(KAIR)【徳島県神山町】
[訪問者]岡田安紀子、河原大耕、池田壱和、池田峯代、黒木富美子、古薮優子、亥角秋枝、坂口文孝、宮本勝夫、宮本恵美、亥角英つ子、中西亜希子、足立博、上中道子、北福敬三、北福正美、梅原浩之、小山那須夫、小山由紀子、坂口富夫、大崎忠男、大前忠司、中田隆、中田千嘉子、山崎昌子。
(以下武庫川女子大生)芝田、松田、岩澤、篠原 合計29名(船坂里山芸術祭推進委員会)【兵庫県西宮市】

 ------------------------
<タイムテーブル>
◎2013年9月7日(土)
10:00〜12:00:「アートによるまちづくり」をテーマに意見交換会
活動15年目を迎える、まちおこしの先輩神山町の取り組みを質問。お互いに抱える問題点などを幅広くディスカッションした。
 会場:神山町農村環境改善センター
12:00〜13:00 昼食(神山町のお弁当)
13:00〜15:00 神山町道の駅見学 加工品ビジネスモデルの参考となる、道の駅を見学。

 ------------------------
okadaakiko.JPG
<執筆者プロフィール>
岡田 安紀子(おかだ・あきこ)
船坂に関わること、今年で7年。いつの間にか住人でもないのにまちおこしの中心メンバーに...!?
「土と火と、実りの里の芸術祭2011, 2013」ディレクター。船坂里山芸術祭推進委員。
陶芸作家。