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メッセージ 2012.11.21

#17 皆川俊平(WATARASE Art Project)

目を閉じ、夢の中、私たちは旅をする。

旅人、旅行鞄、空港、飛行機、曇った空、雲、雷、突然の豪雨、川の氾濫、倒れた木々、濁った水、浄水器、プラスティックのコップ、冷たい飲み物、砂浜、ミズクラゲ、夏の終わり、赤とんぼ、ススキの原、テント、ランタンの灯り、星座、寝袋に入り夢を見ること、朝、鶏の鳴き声、遠くの方で呼ぶ声、振り返る人影、暑い日差し、陽炎、太陽、日傘、団扇、浴衣、スイカの種、ジョウロの水、虹、遠くの山に落ちて行く陽、ひぐらしの声、静まり返ったホーム、誰もいない列車、ひとり座るシート、埃で汚れた窓、森、木々、芽吹いた新しい命、産声、母親、祖母の手、父の面影、祖父の形見、古びた写真、どことなく似た人々、歴史、時代、戦争、虐殺、ディスコミュニケーション、差別、性別、SEX、男、女、同性愛者、メトロセクシャル、性的不能、性感染症、ストレス、鎮静剤の入った注射器、病院、白いカーテン、風で揺れる木の葉、飛び立つ鳥、羽飾り、伝統的な衣装、異国の踊り、肌の色、旗の色、国境、言葉の壁、嘆きの壁、クライシス、銃撃戦、難民キャンプ、孤児、少女が抱く人形、閉じた瞳、死者、葬列、埋葬、土と共に眠ること、夜明けの月、裏側、政治、権力、闘争、ケンカ、少年の頃、中二病、学校、球技大会、ヒーロー、優勝とそれ以外の敗者、コンプレックス、鏡、さかさま、宙づり、アクロバット、飛行機雲、墜落、事故、遺族、遺影、遺骨、記憶、美化された過去、虚栄心、アイデンティティの喪失、肉体の再生、とかげのしっぽ、動くこと、生きているもの、ヒト、人、住居、生活、貧困、食事、エンゲル係数、経済、金融、投資、企業、株主、インサイダー取引、IT、裁判、独占、カルテル、資産家、税金滞納、消えた年金、老後、介護、車いす、障がい、バリアフリーな駅、公共交通、都市、渋滞、車、ドライブ、郊外、高速道路で田舎へ行くこと、生活の停滞感、過疎と高齢化、限界を迎える集落、消えて行く伝統、後継者、息子、谷底に突き落とすライオン、サファリパーク、ワシントン条約、保護、保全、避難所、仮設住宅、コミュニティの崩壊、無人の街並、無人島、原生林、人工物、公害、近代化、産業、労働者、失業率、組合、暴動、クーデター、テロリスト、ラジオで流れた声明発表、軍事国家、民主主義国家、政見放送、マニフェスト、嘘、狼少年、童話の寓意、言い伝え、祖父が生まれた頃、関東大震災、ディザスター、メルトダウン、津波、三陸海岸、東北地方、豪雪地帯、米、田んぼ、農業、ビニールハウス、温室、二酸化炭素、腹式呼吸、ダイエット、マクロビオティック、健康、ECO、バイオガソリン、植物、花粉、ミツバチ、熊、息を潜めて死んだフリ、ひそひそ話、夜行バス、窓の外を流れて消えて行った光、彗星、天体望遠鏡、夜の帷、不眠、羊の数を数える。

まぶたの裏で、ここには書ききれないほど際限なく続く、世界を構成するものごとたちと出会う。私たちが現実で手に触れられるのは、そのほんの一握りだろう。しかし、AAFにはこれらのいくつか、否、そのほとんどが内包されていると思う。
だが、気付けば、世界を構成するこれらの内に、肝心のARTは存在しない。

なぜ?

それは、これらに直面するその瞬間、これら見る目、これらと私たちとの間をつなぐ、その媒体がARTであるから。
ARTが当たり前に、ただ「それ」のみとして存在することに私は疑いの眼差しを持ちつつ、少しだけ、けれど真剣に、昼間の太陽の下で目も閉じずに夢を見られる。

想像力は、世界をもう一度創り出すための私たちが平等に持つ力(ART)だろう。

 

WATARASE Art Projectでは、活動を行なう地域(群馬県桐生市・みどり市・栃木県日光市足尾町)での、各自治体による「空き家バンク」事業などとの連携のもと、アーティスト向け、改装・改築が自由な物件のご紹介もできます。プロジェクトへの参加だけでなく、実際に(ちょっと)住んでみたいなど、ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

info@watarase-art-project.com

 


DSC_4722.JPGのサムネール画像のサムネール画像皆川俊平

1982年神奈川県藤沢市生まれ。アスリートを目指すも、身長が低いことから挫折し、2年の浪人のうちにヘビースモーカーとなり、東京藝術大学へ入学。2006年からWATARASE Art Projectを開始、中心的なメンバーとして活動。2011年、東京藝術大学大学院博士後期課程を休学し、日光市役所嘱託職員として、限界集落の生活支援、学校と地域との連携など、地域振興事業を担当する。関連記事はこちら