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メッセージ 2012.07.01

#12 黒木皇(アフリカからのお客さんプロジェクト)

旅する態度で日常を生きる方法を模索している。
飛行機で遠くへ行くことや外国語の流暢さよりも、日常生活の中の異世界に目を向け、それを具体的に捉えたり想像しようとする態度こそ必要なのではないか。

僕はちいさいころから地図が大好きだった。ついには小学校の地図帳に飽き足らず、あれこれ妄想しながら架空の地図をつくりだす始末。自分で海岸線ひいて山河つくって、国境ひいて、架空の国名を付け、人口を設定し、首都をおいたり、線路を敷いたり。そしてそこに住む人々に思いを馳せる(ちょっと危ない小学生)。そんなへんてこな地図好きの少年が大人になって旅した国は60余り。さまざまなステレオタイプでべったり色塗られていた僕の頭のなかの地図は、旅先での具体的な体験によって紡がれた景色−世界の眺め方といってもいい−のネットワークの“図”として、瑞々しく塗り替えられていった。

数年前、アフリカ大陸の南端ケープタウンからアフリカ大陸北東部のエチオピア・アディスアベバまで、約5000キロを、足で、列車で、バスで、数ヶ月かけて北上した。その間、行く先々でたくさんの家にあがりこみ、居候させてもらう。居候先の人々との暮らし、それは他人の日常を旅し、自分の日常を振り返ること。そこには、わかろうと試みても、結局わかり合えないコトもいっぱいあって、うーんうーんと悩んだりもしたが、その消し去れない距離をだんだん大切に思えるようになった。それは生き方の幅であり、世界に奥行きをもたらすもの、と思うから。こんな世界の見え方もあるのか、と。

そして僕はいま「ホームステイ~アフリカからのお客さんプロジェクト~」という企画をゆるやかに進めている。アフリカ各地では僕がお客さんだったが、今度は逆にアフリカからやってくるアーティストたちがお客さん。彼らが横浜のありふれた住宅街の民家に居候(ホームステイ)し、日本のアーティストや来場する市民と食卓を囲んだり、作品をつくったりする。ここを訪れる人々がいつもとは違う世界を覗くための、別様なものと思っているコミュニティ・人・場所を行き来するための、扉をひとつ開いていくきっかけとなってほしい。

最後に。この十年間の全国各地のAAFネットワークをなぞっていくと、既存の日本地図では表せない、AAF図法的(メルカトル図法的な用語の使い方に倣い)ともいうべき、独自の姿が浮かびあがってくるのではないか。各地域で活動するひとびとの小さな息づかいや、ささやかな実践、ときに、謎とも思える事柄さえも大らかに拾い上げ、日々そのカタチを変え続けるAAFネットワークの地図。

そろそろアフリカに飛び地をつくってもいいのでは?と思っている。

 

profile.jpgのサムネール画像黒木皇

1982年、福岡市生まれ。「アフリカからのお客さんプロジェクト」代表。アフリカから客人を迎え入れることでうまれるモノ・コトにゆっくりと向き合い、ささやかに楽しみ、そして自分自身の日常を旅するように暮らしています。