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レポート 2012.03.16

2011交流支援プログラムレポート14 「海と船とアート拠点をめぐる交流ツアー<日本海編>」


AAF参加団体、ネットワーク団体の担当者が交流する「地域間交流支援プログラム」。今回のレポートは2011年10月に「アートNPOヒミング」を訪ねた「まいづるRB」の森真理子さんです。
 
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<レポート>
AAF2011ネットワーク会議でアートNPOヒミングの高野織衣さんと平田哲朗さんにお会いして、ぜひ氷見市に行こう! と決めました。以前から「氷見はお魚や食べものがとっても美味しい!」という噂を聞いていたし、「船」や「海」という、まいづるRBの活動とも重なるテーマを実践していらっしゃるし、ちょうど、私たちがはじめた商店街のアートスペースの先行事例のようなものが、ヒミングのアートセンターにはあるのではないかと思ったし、同じ日本海側という立地での活動の中で、なにか共有できる課題や活動のヒントがあるのではないかと思ったり、あわよくば、「種は船」という日比野克彦さんらと行っている舞鶴の企画で今後一緒に共同してもらえないかなぁという目論見があったりしたからです。

富山県氷見市のアートNPOヒミングを訪れた2011年10月9日は、ちょうど、ヒミングのイベント、ヒミング・2011「水辺のラララ」の当日でした。

早朝に舞鶴を出て、電車を乗り継ぎ、乗り継ぎ、氷見についたのはお昼過ぎ。同じような距離でも、太平洋側をいくのと、日本海側をいくのでは、所要時間はまったく違います。そんな「不便さ」を感じるたび、都会の時間/田舎の時間、陸の時間/海の時間、いろいろな時間のあり方と進み方に思いを馳せます。

到着したお昼頃には、朝から行われていたヒミング主催のイベント「Tenmatch (テンマッチ) 2011 天馬櫓(てんまろ)こぎ大会」と「ラララマーケット」が佳境を迎えていました。前者は、氷見に古くからある木造の櫓こぎの舟(伝馬船)を使ったレース大会で、素人や子どもの部から現役漁師さんなどのプロの部まで、さまざまな人が川や舟に親しめるイベント。みんなが櫓こぎの舟と川の流れとその日の空気を楽しみながら、真剣勝負のレースを繰り広げます。その川沿いの会場を賑やかし彩るのが「ラララマーケット」。カフェにパン屋に手作り雑貨など、地元のお店が数十軒ほど、どれも素敵なお店が立ち並んでいました。中にはマッサージのお店も。その中に藤浩志さんの作品がひそんでいたり、アートセンターには日比野克彦さんと地元小学生たちが割り箸でつくった「土船(ドブネ)」作品があったりと、ふと出会う作品に思わずにんまりします。

ヒミング写真2.jpg
レースが終わると、夕方からは川沿いの素敵な屋外会場でトークイベントが開催されました。私たちの未来のこと、豊かな暮らしのこと、循環型の社会のことなどをテーマにしたトーク。デザイン・ディレクター/キュレーターの桐山登士樹さん、美術家の藤浩志さん、日比野克彦さん、中村政人さん、そして熊本県天草市の御所浦で櫓こぎのレース大会を開催している三宅啓雅さんという豪華な顔ぶれに私も混ぜていただき、舞鶴で行っているプロジェクトの事例紹介をさせていただきました。藤さん、日比野さん、中村さんは、これまで何年もヒミングの活動をともに行って来たアーティストということで、これまでのヒミングの活動の流れ、そして今後どのような活動を行っていこうか、という展望も話されました。

ヒミング写真4.jpg
そのまま夜は、ヒミング・アート・センターで素晴らしく美味しい手作りの食事をいただきながら、パーティ&ライブ&もやもや会議。深夜まで楽しく、参加者や関係者の方々とお話をさせていただきました。

ヒミング写真3.jpg
たくさんの地元の方や学生たち、市外からも大勢の人が参加し、終始和やかな日でした。氷見市の豊かな自然があり、そこに着目したヒミングさんの「海」と「山」が循環するプロジェクト。そのことを丁寧に着実に企画やプロジェクトとして進め、地域に目を向けて活動している様子が窺えました。2003年に端を発し現在に至っているヒミングの活動は、徐々に時間をかけて変化し続け、私の立ち会った2011年の秋の一日があるのだろうことを感じました。パーティでは総勢50名ぐらいのスタッフや関係者が場を共有し、ヒミングでの活動を楽しんでいる様子が印象的でした。大きなイベントの当日に訪れ、忙しい中、高野さんはじめヒミングのスタッフの皆さんに快く対応をしていただきました。この場を借りてお礼申し上げたいと思います。

ヒミング写真1.jpg
今回は短い滞在でしたし、あえて盛り上がっているイベントの日という日を選びました。氷見市である一日をともにしたというだけに過ぎないですが、氷見市の歴史や風土のお話を伺ったり、ヒミングの関係者に話を聞いたりと、刺激的な日となりました。
氷見を訪れたかった理由はいくつかありましたが、なにより、実際に足を運んで、そこでなにかを体感する、ということが重要だったように思います。肌で感じること、というのは、とても大事な経験です。そして、なにより、他の土地や事例を見ることで、自分たちの活動が相対化できるのだという、交流プログラムの当たり前の効用をあらためて実感しました。

来年度、ヒミングさんとは、舞鶴で行っている船づくりと新潟までの航海を目指す「種は船」プロジェクトで、一部一緒にプロジェクトを進めていくことになりました。地域を越えて、ひとつのアート・プロジェクトが共有されていくというのは、これからますます需要が高まっていくのではないかと思います。

最後に、AAF交流支援プログラムとしてではないのですが、2011年は自主的にいくつかのAAFネットワークの土地を訪ねました。八戸「八戸横丁酔っ払いに愛を」「はっち」の今川和佳子さん、浜松「たけし文化センター」「クリエイティブ・レッツ」の鈴木一郎太さんなど、大変お世話になりました。各地の活動がそれぞれに興味深く、自分たちの活動を測る重要な経験となりました。また、秋葉原ネットワークの岸井大輔さん、冠那菜奈さんをはじめ、東京・大阪から何人かの方に舞鶴に来ていただきました。それが縁となって、先日、舞鶴の拠点スペース「yashima art port」では「秋葉原ネットワーク」の内田聖良さんのワークショップも行うことができました。AAFネットワークの広がりは計り知れません。私にとっては「交流すること」が、自分を知ることにつながりました。「他者」があってはじめて「自己」が生まれるというようなことを再認識する交流の旅だったかもしれません。ありがとうございました。

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<開催概要データ>
[企画名]海と船とアート拠点をめぐる交流ツアー<日本海編>
[実施日] 2011年10月9日(日)
[招聘者]高野織衣(アートNPOヒミング)【富山県氷見市】
[訪問者]森真理子(まいづるRB)【京都府舞鶴市】

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<タイムテーブル>
◎10月9日(日)
12:00~ 「Tenmatch 2011 天馬櫓こぎ大会」と「ラララマーケット」を見学
17:00~19:30 トークイベントに参加
19:30~21:30  パーティ・ライブ・もやもや会議 イベントに参加
21:30~深夜まで ヒミング・スタッフや当日ゲストの方々との懇親
会場:ヒミング・アートセンター周辺(氷見市北大町7-6)、およびその周辺

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<執筆者プロフィール>
愛知県生まれ。京都府舞鶴市在住。文化人類学を勉強した後、美術館や劇場等での仕事を経て、フリーランスで演劇・ダンス・音楽・美術など幅広いジャンルで企画制作を行う。2009年より舞鶴市でのアート・プロジェクト「まいづるRB」のディレクター。