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レポート 2012.03.06

2011交流支援プログラムレポート10「地域の中でのアート活用調査」


AAF参加団体、ネットワーク団体の担当者が交流する「地域間交流支援プログラム」。今回のレポートは2011年12月に「KOSIHI ART PROJECT」を甑(こしき)島に訪ねた「スタジオ解放区」のsrop dropさんです。
 
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<レポート>
12月。沖縄は、「寒くなって来たね。」とやっと冬らしさを感じるようになる頃、甑島では、今年一番の寒さが、人々を家から出るのも億劫にしていた。夏にはレジャーを楽しむ観光客も来るこの島の冬は、島人の日常が繰り広げられていた。
 
イベントのある日とイベントのない日。
「非日常」と「日常」。
私たちは、日常にお邪魔した。しかし、わたしたちの存在は、非日常であり、これこそが、もはやイベントなのかもしれない。
 
島では、「里」という地域のフィールドを巡り、アートプロジェクトについて聞き込みをした。島の人たちは、このイベントに対してどう思っているのだろうか。

「若い人が頑張っていると、活気づく。迷惑はかけてないなら、いいじゃない。」
半農半漁を営むおじいさん。
「最初は、警戒していたけれど、今では、今年はなにやるのだろうかねえ、と楽しみになってきた。」 
民宿を営むおばさん。
「親は大変ねぇ。」 
自転車で買い物へ行くおばさん。
「評判は悪くなっている。」
定食屋のおじさん。

それぞれの意見が身に染みる。
なぜなら、わたしたちもきっと沖縄へ帰ったら、同じことを言われているだろうから。
 
島にとっては違和感であったわたしたちをつなげてくれた、KOSHIKI ART PROJECTのみなさん、ありがとうございます。
 
私たちが、島へのフィールドワークを形にできないかと考えて作ったのが、「こしきポケット」である。
島で出会った人やモノを、それぞれキャラクターにして描き、ポケットに入れてまとめてみた。
写真の中にある、「こっぱもちのすけ」も、そのひとつ。彼は、地域資源の活用として作られた、こっぱもちというお土産品を題材にしている。
こっぱもちのすけは、こんなことをつぶやく。
「おら、もちのすけ。おいら、引きこもってたんだ。でも、父ちゃんが旅に出ろって。世界は広いんだって。」

koshiki_koppa.jpgのサムネール画像のサムネール画像
また、甑島でよくみられる、玉石という石は、「たまいしひろし」さん。
「でてくるでてくる おれらはでてくる ころころでてくる たまいしだ。ふまれるならべる みつめるかなえる いつでもみえる たまいしだ。」とつぶやいている。
甑島で出会ったものは、すべて背景や名前がまるでしっかりと構成されていて、わたしたちはキャラクターにしか見えなかった。出会う人出会うモノ、それぞれこの小さな島に昔から密着していて、みんなの距離がとっても近い。
そして、それらをうまくまとめて活かすのがKOSHIKI ART PROJECTのみなさんだ、そう感じた。
ポケットの中に、まるで収まった世界。
 
甑玉石photo2.jpgのサムネール画像
私たちは、いろいろな地域を見て、地域の「外」と「中」をつなげるようなことをつねに意識し作品づくりをしていきたいと思っている。
甑島での見聞きしたこともその一つ。
中にいる人々ひとりひとりを、こしきポケットを手に取ることで、外に一瞬で伝えることのできる魔法の道具。
 
交流とは、違う環境を見て、自分たちの環境が見えてくることをいうのではないだろうか。
 
わたしたちが見えてきたもの。それは、地域の人々とアートイベントの関係性。
「もちつもたれつ」の関係ができているのだろうか。
借りているのではなく、共有している。共感している。共鳴している。
お互いがそう感じ合うことができるようなものでありたい。
 
だから、わたしたちは今年の夏、またこの商店街で、走りたいと思った。
 甑消防写真2.jpg
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<開催概要データ>
[企画名] 「地域の中でのアート活用調査」
[実施日] 2011年12月16日(金)~12月19日(月)
[訪問先] KOSIHI ART PROJECT 【鹿児島県薩摩川内市(甑島)】
[訪問者] スタジオ解放区/srop drop(しろっぷ どろっぷ)【沖縄県沖縄市】

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<タイムテーブル> 
◎12月16日(金)
沖縄→博多 博多→熊本 「河原町商店街」フィールドワーク。熊本泊
◎12月17日(土)
熊本→鹿児島 甑島を巡る。KOSHIKI ART PROJECTの方による案内、交流
◎12月18日(日)
甑島にて「里」地域のフィールドワーク。甑交流会
◎12月19日(月)鹿児島→博多→沖縄

 srop drop.JPGのサムネール画像
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<執筆者プロフィール> 
  sropdrop / 絵本作家の和田瑞希と、幼児教育を学ぶ安里恵美による遊びエンターティメント。双子のように似ていることから、銀天街ではよく間違えられる。大学時代、授業を通して銀天街と出会い、さまざまなイベントや作品制作に参加。卒業しても、この商店街に魅了され、○○ projectと称して、活動を続けている。