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レポート 2012.02.10

2011交流支援プログラムレポート03 「長者町ではんだアクセサリーをつくる会」


AAF参加団体、ネットワーク団体の担当者が交流する「地域間交流支援プログラム」。それぞれの現場やまちの空気にふれながら、たがいの現状をゆっくりと話し合い、アイデアやノウハウの交換を行うことができるように、と始まりました。現在では、新しい視点を獲得することで、あるいは別の視点が持ち込まれるによって、これまでにないプロジェクトが立ち現れようとしています。
今回のレポートは秋葉原ネットワークの小林橘花さんです。

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<レポート>
「秋葉原ネットワークは不思議集団だと思う」
山田さんが言った。思いもよらない表現で私は笑ってしまった。
不思議ってどんな感じなんだろう。メルヘン?ふわふわした感じ?いまひとつ想像がつかない。ただ、なにか理屈ではない不思議さというのが秋葉原ネットワークにあるのかもしれないと思った。
初日からミーティングの見学をさせていただいたり、一緒にワークショップの準備をしたりするなかで、長者町まちなかアート発展計画(以下、発展計画)のメンバーにはどんな方々がいるのかをわずかながら知ることができた。山田さんから「不思議集団」という言葉を聞いて(聞いたのは三日目のお昼だった)、私たちと発展計画とを比較してみると、たしかにどこかおかしな感じがした。いったい何がおかしいのか、なぜおかしいのか。

ミーティングの様子.jpeg
私にしてみれば、発展計画も「不思議集団」ほどファニーではないものの、その集まりは十分不思議に感じられた。
以前から、発展計画にはいわゆるアートの活動とは異なる仕事をもっている人たちが多いと聞いていた。私自身の興味が働いている人たちにあることから、発展計画のメンバーがどのようにプロジェクトに関わっているのかとても気になっていた。ミーティングは夜になってから始まり、発展計画隊長の山田さん宅に仕事終わりのメンバーが続々と集まってくる(なかには学生など、そうでない方もちろんいる。見学させていただいた日には12名ものメンバーが集まっていた)。夜にミーティングをしたり、休日にはイベントやその準備をしたり、皆とてもやる気があり、やりがいを感じているようにみえる。それぞれのスタンスでプロジェクトと関わり、メンバーの一員として主体的に動いているようだった。そのやる気がどこからわいているのか、私には不思議だった。
一方、秋葉原ネットワークは、そういった仕事というものを持っている人がおらず、それぞれがそれぞれの理念で進めたい活動があり、その中でお互いに協力しあっている感じだ。そういう集まり方は私にはとても自然に思える。でも、もしかしたらこの違いが不思議感を生んでいるのかもしれないと思った。

山田さんは京都造形芸術大学で舞台芸術を勉強されていたそうで、とくに舞台監督をやることが多かったという。舞台監督が何をやる人か私はよく知らないが、全体の調整や管理をするひとらしいと聞いた。山田さんのミーティング進行はゆったりすぎず、しっかりすぎず、絶妙だった。そういう様子を見てか、内田聖良も「山田さんは確かに舞台監督という感じがした」と言っていた。ミーティングだけでなく、プロジェクト全体を通しての進行でも山田さんは舞台監督のように回しているのだろうと想像ができた。彼女自身も、「こういう活動はまるっきり初めてだけど、なんで発展計画をやれているのかな、と思ったときに、やっぱり大学で舞台監督をやってきたのは大きいと思った」と話していた。

「長者町ではんだアクセサリーをつくる会」①.JPG
隊長の山田さんは女性だが、発展計画には男性も多く、なかには、電子工作に詳しいひともいた。こう書いてみておかしくないのは、やはり電子工作というのは男性のやるものというイメージがあるからなのだろう。秋葉原、電子工作、はんだ等といったワードが並び、「内田聖良」「小林橘花」という読み方がわかりづらい名前の二人が来るということで、発展計画の方々に「てっきり男性が来ると思っていた」と何度か言われて驚いた。「でもアクセサリーって入ってるのに...」と作家の内田聖良はつぶやいていた。内田にとっては初の滞在制作でもあり、本番までの間、妙に緊張すると話していた。それもいい緊張感だっただろうと思う。「長者町ではんだアクセサリーをつくる会」はたくさんのお客さんで賑わい、その人らしいアクセサリーが次々に出来上がっていった。場所の影響もあるかもしれないが、参加者は女性が圧倒的に多かったと記憶している。普段は電子部品に触れることのない人たちが、部品に触れ、よく観察して、アクセサリーを制作する。そしてそれを持ち帰る。その電子部品はだんだんと見慣れたものになっていくだろう。すると、さまざまな電子機器のなかにある部品が、「まったく知らないよくわからないもの」から「見慣れたあれ」になっているかもしれない。その距離は知らぬ間に縮まっているのだ。発展計画の方々にもそれが感じていただけただろうか。秋葉原と長者町の距離も少し縮まっていると嬉しい。

20110625 (15).JPG
※ 「はんだアクセサリーをつくる会」とは...(内田)
綺麗にデザイン・加工されていて、中身のことはほとんど想像ができない機械の中身について、考えたり、話すきっかけを増やす事を目的に発足された、電子部品を素材にアクセサリーをつくる会。
内田聖良と窪田航平の二人を中心に活動。見本がなく、いじることによって"違っている"魅力のアクセサリーが制作される。「触ること」「身につけて外で歩くこと」で、素人でも電子部品と関われる。
・出張のオーダー受付中
・会専用のサイト制作をレポート予定

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<開催概要データ>
[企画名]長者町ではんだアクセサリーをつくる会
[実施日] 2011年6月23(木)-25日(土)
[招聘者]長者町まちなかアート発展計画【愛知県名古屋市中区】
[訪問者]内田聖良、小林橘花(一般社団法人PLAYWORKS/秋葉原ネットワーク)【東京都千代田区、台東区】

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<タイムテーブル>
2011年6月23日(木)
(18:00ころ:小林着→山田訓子さん宅へ)
19:30〜23:00:長者町まちなかアート発展計画ミーティンング見学(会場:山田さん宅)
(19:30すぎ:内田着、駅でミーティングにむかうメンバーと会い、一緒に山田さん宅へ)

2011年6月24日(金)
内田、小林で名古屋市内をみてまわる。
長者町繊維街、伏見地下街、栄の問屋、大須などへ行く。
19:00:万勝S館(元ATカフェ) にて翌日の準備。

2011年6月25日(土)
午前:内田、IAMASの展示を観にいく。/小林、山田さんとランチ。
13:00〜20:00:「長者町ではんだアクセサリーをつくる会」開催(会場:万勝S館一階)

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執筆者画像.jpg<執筆者プロフィール>
小林橘花
1985年東京都下生まれ。働く人が気になる。
一般社団法人PLAYWORKSのtwitter係。ムサビの修士2年。
遊んだり研究したりしている。