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レポート 2012.02.10

2011交流支援プログラムレポート02 「王余魚沢倶楽部 × 路地と人 カレー交流」


AAF参加団体、ネットワーク団体の担当者が交流する「地域間交流支援プログラム」。それぞれの現場やまちの空気にふれながら、たがいの現状をゆっくりと話し合い、アイデアやノウハウの交換を行うことができるように、と始まりました。現在では、新しい視点を獲得することで、あるいは別の視点が持ち込まれるによって、これまでにないプロジェクトが立ち現れようとしています。

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<レポート>
路地と人のある神保町はカレー屋が多い街としても知られている。この街にカレー屋が増えた理由として「古書店で買った本を読みながら食べるにはカレーが丁度よい」という話しをよく聞くが真偽の程は不明だ。実際、昼時の人気店はどこも満席で、ゆっくり読書をする雰囲気ではない。路地と人のメンバーにもそれぞれ贔屓の店やこだわりがある。カレーの好みはそれぞれの性格を端的に表していて面白い。

神保町から遠く離れた青森市浪岡王余魚沢(かれいざわ)にもまた、カレーにこだわりを持つ人達が集まっていた。
廃校となった王余魚沢小学校を再利用した王余魚沢倶楽部は、ツリーハウスのある森、アーティスト・イン・レジデンス、カフェ&ショップを備える複合施設だ。そして、このカフェのメニューのひとつ「王余魚沢カレー」を食べに遠方から足繁く通うファンがいるのだという。その噂は当然カレー好きの路地と人の元にも届き「ならばカレーを通して交流を」と、路地と人オリジナルカレーレシピを引っ提げ王余魚沢倶楽部へお邪魔することになった。

2011年8月21日午後。青森駅から車で30分程、王余魚沢倶楽部は深い緑に囲まれた小さな集落の中にあった。かつて子供達が学び遊んだ記憶が残る平屋建ての校舎の中ではアーティストが作品制作を、弘前在住の建築家・蟻塚学氏による体育倉庫をリノベーションして作ったというカフェでは、親子連れが遅い昼食をとっている。
調理場は校舎の1室だが、調理器具や食器など必要な物は大体揃っている。カフェのメニューもここで調理されているそうだ。この日の「路地と人カレー」はネパールカレーをベースに、海老やズッキーニ・パプリカ・ナス・トマトなど王余魚沢周辺で採れた夏野菜を使った具だくさんのカレーで、メンバーの安岐理加のレシピによるもの。小学生の時の調理実習を思い出しつつ、2時間ほどで「路地と人カレー」は完成した。

kareizaw1jpeg.jpegのサムネール画像
カレー交流会の会場には営業終了後のカフェを使用した。参加者は、あおもりNPOサポートセンターとかれいざわ倶楽部のスタッフ・滞在中のアーティスト・路地と人の10名。
「王余魚沢カレー」は2010年のかれいざわアートICHIBAのカレーコンペで優勝したバターチキンカレー(インドカレーの定番メニューのひとつで、鶏肉・トマト・バター・スパイス等で作るシンプルなカレー)と同じレシピで作られている。

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ふたつのカレーをひとつの皿の中で食べ比べてみると、同じカレーと呼ばれる料理でも全く味が違うことに気付かされる。老若男女に好まれる甘く優しい味の「王余魚沢カレー」、一方、さっぱりとしているようで後から辛さの出てくる「路地と人カレー」。それぞれの特徴はこんなところにも表れてくるものなのだ。しかもこのふたつのカレー、混ぜ合わさると今まで食べたことのない味のカレーになり、1皿で3種類のカレーを食べているかのような感覚。
食後は神保町で撮ったカレーやカレー店のスライドを見たり、制作中の作品について話したり、ついには会話の中から新しい作品のプランまで練り上げてしまったり... 満腹感、満足感に包まれて交流会は終了した。

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翌日はあおもりNPOサポートセンター副理事長の小山内誠氏に、りんご箱を再利用した椅子に座りながらお話を伺うことができた。NPOの立ち上げや、王余魚沢倶楽部の成り立ち、昨年のかれいざわカレーコンペの様子。特に地域住民と王余魚沢倶楽部との関係を窺える様々なエピソードは興味深かった。「継続は力なり」と口でいうのは簡単だが、特定の場所で活動を続けるには地域の理解や協力が不可欠である。私達の活動を継続して行く為に何が必要なのか、あらためて考えながら青森を後にした。

家であまりカレーを食べない私にとって、カレーとは「外食時、一人で黙々と食べる料理」だ。
行きつけの店で一人で食べるカレーも悪くはないが、大人数で食べるカレーは一人では味わえない楽しさがある。そしてその楽しさは、ひとつの皿の中で混ぜ合わさったカレーの味のように新たな美味しさを生み出すのだろう。
今年も行われるという王余魚沢のカレーコンペ。新たな美味しさと楽しさが生まれることを期待したい。

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<開催概要データ>
[企画名]「王余魚沢倶楽部 × 路地と人 カレー交流」
[実施日]2011年8月21日(月)-22日(火)
[招聘者]王余魚沢倶楽部【青森県青森市】
[訪問者]安岐理加、大村みよ子(路地と人)【東京都千代田区】

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<タイムテーブル>
2011年8月21日
会場:王余魚沢倶楽部 (青森県青森市浪岡王余魚)
14:00~ 路地と人カレー調理開始
18:00~ カレー交流
    ・王余魚沢カレーと路地と人カレーの試食
    ・スライドを交えてディスカッション
20:00 終了
2011年8月22日
17:00〜19:00 あおもりNPOサポートセンター副理事長 小山内誠氏へのインタビュー


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8-06.jpeg<執筆者プロフィール>
大村みよ子/路地と人
東京都出身 武蔵野美術大学彫刻学科卒
2010年1月より共同で路地と人の運営を始める。
立体を中心とした作品の制作も行っている。