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コラム 2011.08.04

#02 原田 麻以(NPO法人 こえとことばとこころの部屋=ココルーム)

アサヒ・アートフェスティバル(AAF)が始まった2002年、わたしは17歳の高校生でした。その当時の自分と言えば、地域や社会や世界との接点の手触りを、自分の中に見つけることができずにいたように思います。年齢的な要因ももちろんありますが、自分のどこを探しても「わたし」が「世界」に「触れている」、あるいは「世界」が「わたし」に「触れている」という感覚が見つけられず、地面から足がふわふわと浮いているような感覚にあったと思います。

そこから、さらに時をさかのぼり1998年にNPO法ができ、NPOという仕組みの中での働き方が可能になり、そして現在、わたしはアートNPOで働いています。地域の中で場所を開き、社会との関わりを模索する中でAAFにも参加し、各地で活動するさまざまな方と出会い、ことばを交わしていく中で、確かに地域や社会や世界に、自分が「触れている」という感覚を持つことができるようになったと感じます。地面に足がついている感覚。それは大きな安心でもあり、一方でしがらみや面倒を引き受けていく覚悟であり、また一方で闘うものがあることを知ることのようにも思ってきました。

 3月11日以降、AAFメーリングリスト上では全国各地の参加団体や実行委員の方から、安否の確認や励ましのことばなどさまざまなメールが飛び交いました。AAF事務局では今年度参加団体から、過去の参加団体・実行委員までさまざまな方へ丁寧に連絡を取られ、安否の確認などをされていることが伺えました。

わたしたちは、いろいろな団体から助成金をいただいて活動してきましたが、全国ネットワークをもって、ここまで活発なメールのやりとりが行われた組織はAAF以外ありませんでした。

震災以降、さまざまな出来事と出会う中で、大事なことは「日々の中でなにをしてきたのか」だと痛感してきました。日常的にしていないことを、急に緊急時だからやろうというふうにしても、なかなかできない。そういった意味で、AAFが日常的に培ってきたネットワークの力を改めて感じました。緊急時機能したものは、参加団体と助成元という単一の関係ではなく、実行委員会や事務局、参加団体同士など、幾重もの層の関係がかたちを変えながらも10年間継続され、編み込まれ、重ねられてきたものの姿なのだと思います。

助成関係は、お金を払う、もらう、という単純な関係ではなく、社会的な課題に対し共に関わり、考え合い、共働していく関係だと考えて日々活動をしています。実際にはそれが非常に難しいこともありますが、AAFはその大きなお手本のひとつだと感じます。

世界への確かな手触りのあるAAFのような取り組みがもっと増えればいいのになあと思い、そのために、まずは自分の足元の日常を振り返らねば…と思っています。

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1985年東京生まれ、東京育ち。2008年大学卒業後、会社員として勤務中、大阪西成通称「釜ヶ崎」にて活動を行うアートNPOココルームへ「さまざまな人が集まる場づくり」の勉強へ出向く、が2日で帰りたくなる。なんとか乗り切り、2009年よりココルームスタッフ。新たな拠点「カマン!メディアセンター」の立ち上げおよび運営を行う。明治学院大学平和研究所研究員。