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レポート 2010.09.29

2010交流支援プログラムレポート07 「岡山╱地域住民とゲストハウスについての交流会議」

AAF2010の交流支援プログラム7番目のレポートは、ゲストハウスタウンプロジェクト実行委員会(岡山県岡山市)と、NPO 法人 あおもりNPO サポートセンター、teco LLC 青森スタジオ(ともに青森県青森市)による交流企画、報告者は三上真嗣(teco LLC)さんです。

 

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<レポート>

2010 年7 月17 日より7 月20 日まで3 泊4 日の日程で、「1日から滞在できるアートスペース kajico」との「地域住民とゲストハウスについての交流会議」を主な目的に、岡山市内のアートに携わる方々や関連施設、瀬戸内国際芸術祭2010 が開催されている香川県のいくつかの島のアートスポットを訪ねた。

7月17 日(土)朝6:00 に弘前駅を出発、特急つがるから新幹線へと乗り継ぎ、午後15:00 に岡山駅に到着。そして岡山駅から岡山の街に降りると、kajico の小森さんと三宅さんが笑顔で出迎えてくれた。

そんな小森さんと三宅さんとともに、岡山市内のアート関係者や関連施設を訪問した。岡山市北区の奉還町商店街で桑田奈美枝さんが運営するレジデンススペースとギャラリーが複合した「satellite」というスペースや、北区表町「NPO 法人ハート・アート・おかやま」の田野智子さん、北区天神町「地域と藝術計画」の小石原剛さんのもとを訪ねた。そしてこれらに加えて、小石原さんには、小石原さん自らが古民家を一部改装して造った、金継ぎの工房も見せていただいた。岡山市内の街はひとたび広い道路から小道に入ると、素朴な懐かしさを漂わせた商店や家々が密集して立ち並び、人々の暮らしと密接に関係していると感じた。そしてそこには、人々が互いに関係し、かかわり合う(コミットする)基盤があると感じた。

これら訪問した場所はどれもコミットすることに重点が置かれていた。

「satellite」の桑田奈美枝さんはギャラリースペースの運営が目的というより、レジデンススペースの運営が目的であると話し、小石原さんの「藝術と地域計画」には、演劇や音楽イベントで使用する手作りのスタジオがあり、活き活きと説明してくださった。

こうした「コミットする」ことに重点の置かれた場所や方々の訪問を終え、いよいよkajico さんのゲストハウスにて「地域住民とゲストハウスについての交流会議」開始。


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出席して下さったのは、kajico 滞在アーティストの下道さん、kajico 小森さんと三宅さん、ハート・アート・おかやま田野智子さん、地域と藝術計画の小石原さん、そして備前市でゲストハウスを営む夫婦ユニットmenpei の井筒さんご夫妻。それから忘れてはいけないのが、kajico ゲストハウスのお客さん第1号の方。

まず、teco LLC 代表の立木祥一郎より、teco LLC の会社概要を紹介し、その後teco LLC の事業紹介とAAF 参加イベント「ういむい未来の里 かれいざわアーICHIBA」についての紹介をゆるゆるな展開で僕から行った。しかし開始時間が遅かったため、懇親会のために予約していたお店の時間にも迫り、場所を変更し、個別にお話をいただいた。


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いただいたお話を通してキーワードとして感じたのが「フラット」というワードだ。

備前市で住み開きをおこなっているmenpei さん夫妻が、以前から活動のキーワードとして掲げ、kajico さんでもフラットというワードがとても重要な意味を持っている。Menpei さんが話した「フラット」とは、それぞれの人々が肩書きによって固定した立ち位置を持っているのではなく、互いに他人と学び合える相対的な関係の在り方を指している。kajico さんのゲストハウスでも既存の作品が滞在アーティストさんによって展示されているのではなく、お客さんとしてゲストハウスにやってきた人々とともに作り上げ、直接的に作家さんや他のお客さんと関わったり、滞在日の違うお客さん同士が間接的に関わったりできる仕組みを設けていた。重要なのは既存の作品を共有することではなく、コミュニケーションに重点を置いた、人々の間で何かが起こり、何かが生まれる過程だ。それはまさしく「コミットする」ということだ。

「フラットな関係でコミットする」、これが今回の「地域住民とゲストハウスについての交流会議」で得たポイントだ。しかしこの言葉はとても当たり前の作業のように感じるが、その「フラットな関係でコミットする」ための、スペースの設定が必須であり、よりフラットに、垣根を越えたかかわり合いに至っていない。空気のように無条件で共有でき、かかわり合うことが可能となると人々の間で何が起き、どういった関係が生まれるのか、今後もアートという分野に縛られることなく、kajico さんやmenpei さんの活動にも注目し、僕自身の活動を通して、より「フラットな関係でコミットする」仕組みを作り上げてみたいと思った。


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<開催概要データ>

[企画名]「岡山╱地域住民とゲストハウスについての交流会議」

[実施日]2010 717 日(金)~20日(月)

[招聘者]ゲストハウスタウンプロジェクト実行委員会

[訪問者]NPO 法人 あおもりNPO サポートセンター、teco LLC(青森スタジオ)

[報告者]三上真嗣


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<タイムテーブル>

717 日(金) 岡山駅着 kajico の小森さん・三宅さんと合流

→ギャラリーとレジデンスの複合施設「satelite」訪問・見学

NPO 法人ハート・アート・おかやまの田野智子さんを訪問

→地域と藝術計画の小石原剛さんを訪問

→小石原さんの金継ぎ工房を訪問・見学

kajico にて teco LLC 会社紹介とレジデンス会議

→懇親会

718 (土)宝伝港より犬島へ

→犬島精錬所見学

→第七回犬島時間作品鑑賞

→妖怪イヌジマの作者石井葉子さんを囲んだ企画に参加・テント泊

7 19 (日)犬島にて瀬戸内国際芸術祭出品作品鑑賞

→犬島から豊島へ

→豊島にて瀬戸内国際芸術祭出品作品鑑賞

→豊島から直島へ

→直島にて瀬戸内国際芸術祭出品作品鑑賞

→地中美術館見学

→ベネッセ・ハウス・ミュージアム見学

→直島より岡山県宇野港へ

→宇野港より岡山市内へ

◎7 20 日(月) 岡山市内を散策しつつ、再びkajico 訪問

岡山より新幹線で大阪へ

大阪より寝台特急日本海で弘前へ



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<執筆者プロフィール>

三上真嗣(みかみ・まさつぐ/アーティスト)

1984 年青森県弘前市生まれ。岩手大学教育学部芸術文化過程造形-美術コース卒業。2009 12 月、teco LLC に入社。2006 年、Gallery DENEGA での個展「A Spark Plug」、2007 年、harappa gallery にて個展「easy echoes」を開催。2008 年には、三菱商事 1 回アート・ゲート・プログラムにおいて、絵画作品1 点買い上げ。2009 年には、永岡武人とともに「AAF 酔っ払いに愛を(八戸)」において、空き店舗となったスナックを舞台にインスタレーション作品「五番街の出来事」の制作・展示を行った。