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交流プログラム 2010.07.08

2010交流支援プログラムレポート01 「南北九州農芸交流」

各地域間の自発的な交流を促すために、AAF2006より実施している「地域間交流支援プログラム」。それぞれの現場やまちの空気にふれながら、担当者同士あるいは実行委員と担当者がお互いの現状をゆっくりと話し合い、アイデアやノウハウの交換を行う交流の場が全国各地で生まれています。
AAF2010の交流支援プログラム最初のレポートは、「KOSHIKI ART PROJECT」(鹿児島県薩摩川内市)と「八万湯プロジェクト」(福岡県北九州市)による交流企画、報告は花田伸一さん(八万湯プロジェクト)です。
 
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九州の北端、北九州市内の小学校屋上での農作業を試みる企画「大人の図工時間 the land school 2010-2015」を主宰する八万湯プロジェクトの花田伸一が、農作業の参考のために、九州の南端、鹿児島県薩摩川内市の KOSHIKI ART PROJECT スタッフのヤマシタケンタ氏(クリエイティヴ・ファーマー)の本業である農作業を見学・体験するもの。

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甑島行きフェリー


アートにしろ農作業にしろ、対外的に取り上げられる華やかな部分よりも、それを支える日常、日々の地味な活動に興味がある。水面下の氷山、上澄みの下の沈殿にこそ、旨み成分が詰まっている。素人の農作業体験の定番といえば田植えや稲刈り等、手応えが目に見えやすい華やかな作業だ。それはそれで大事なイベントには違いないが、私はそれを支える日常の農作業の様子をこそ知りたかった。今回私が体験させてもらったのは地味な作業の定番「雑草取り」。それとて一日だけの「農業ごっこ」には違いないが、私はそこから実に多くの収穫を得た。筋肉痛という副産物も存分に。

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田んぼ風景

農作業をしていると通りがかりの島の人たちから次々と声をかけられる。ありがたいことだが、アドバイスの内容が人によって異なるので、全てを素直に聞いてもいられない。また自分の農地だけでなく、近隣の農地や建物への/からの影響も目配りしないといけない。農業とは、自然との関わりはもちろん、近隣の人たちとの関わりも含め、自分一人のエゴと熱意だけでは成立しえない、つくづくパブリックな営みなのだと知った。またハウス栽培や室内栽培はホワイトキューブ的といえるかもしれない。

アートプロジェクトの見学も、あえて会期中ではなく準備期間中に訪ねた。イベント会期中のハイテンションな空気で接したり、かしこまってインタビューしたり、酒交じりで議論したりするよりも、黙々とした単純作業を共にしながらぽつりぽつりと話すことで、プロジェクトの必然性やスタッフの考えを自然体で知ることができた。5人ほどの島内スタッフは昼間のそれぞれの仕事を終えたのち、21時すぎになって事務所に一人、二人と夜の部活のように集まってくる。冗談交じりの中、アートプロジェクトや島の現状に対するそれぞれの思いなどを聞いた。

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KOSHIKI ART PROJECT 事務所

甑島の子どもたちは高校進学時には島外に出て自らの故郷を離れる。その後、島に戻って仕事をしようにも状況は決して楽観的ではない。しかし甑島でのアートプロジェクト継続が島外の人に向けて一つの磁場をもたらしていることは確かだ。島の中では、アートも、農業も、他の色々な活動や仕事も、それぞれが個別に成立しているというよりも、全てが複合的に絡み合いながら、まるで地殻変動のようにじわじわと甑島の次なるステージに向けて動いている、という印象を持った。

さて今回、甑島から持ち帰った種をどこでどのように蒔こうか。他人様の日常はお客様気分で覗けるが、自分自身の日常はしんどい。


<開催概要データ>
[企画名]南北九州農芸交流
[実施日]2010年7月1日(木)〜7月4日(日)
[招聘者]ヤマシタケンタ/KOSHIKI ART PROJECT【鹿児島県】
[訪問者]花田伸一/八万湯プロジェクト【福岡県】


<タイムテーブル>
7月1日(木)
花田移動:11:00 八幡(福岡県北九州市) →<JR>→ 14:30 串木野(鹿児島県薩摩川内市) →<フェリー>→ 18:00 甑島里港
21:00-00:00 事務作業@KOSHIKI ART PROJECT事務所
7月2日(金)
09:00-12:00 農作業@ヤマシタケンタ氏田んぼ
13:00-18:00 農作業@ヤマシタケンタ氏芋畑
21:00-00:00 事務作業@KOSHIKI ART PROJECT事務所
7月3日(土)
09:00-11:30 島内視察:軽トラ(上甑地区、中甑地区ほか)
11:30-18:00 島内視察:自転車(隠山、武家屋敷跡ほか)
21:30-01:00 事務作業@KOSHIKI ART PROJECT事務所
7月4日(日)
花田移動:09:20 甑島里港 →<フェリー>→ 11:00 串木野(鹿児島県薩摩川内市) →<JR>→ 16:00 八幡(福岡県北九州市)


<執筆者プロフィール>
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花田伸一/キュレーター・大学非常勤講師
八万湯プロジェクト。槻田小学校おやじの会。2009年のラオス、カンボジア、タイ美術調査から帰国後、町内活動、農業、仏教に関わる機会が増えた。ヒトはパンのみに生きるにあらず。でも、パンも大事だ。