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レポート 2010.04.09

AAFcafe Vol.4 レポート

3/31に開催されたAAFcafeは、大分から写真家の藤田洋三さんをお招きしました。

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藤田さんは、ライフワークとして「鏝絵」「土壁」「石灰窯」「藁塚」などの撮影と取材をつづけ、無名の人々の生業から生まれた「世間遺産」を記録し続けてきました。その膨大な記録の根源にあるのは、10代の頃の旅にありました。
1960年代末の大学紛争の時代、入学した「東京綜合写真専門学校」がバリケード封鎖により、一旦閉鎖状況に追い込まれ、学校に通うことができなくなった藤田さんは、学校のあった神奈川県日吉から大分まで歩いて帰ります。その旅で見た、無名の職人がつくりあげた見事な仕事がライフワークとなる「世間遺産」へとつながっていきます。

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1976年から、毎年お正月になると、左官職人の手による芸術的な鏝絵(こて絵)や、地域によって形が異なる藁塚(新藁を貯蔵するために刈り田のあとに積み上げたもの)を探して、全国各地を訪ね歩き、その膨大な記録を『消え行く左官職人の技 鏝絵』(小学館、1997)、『鏝絵放浪記』(石風社、2001)、『小屋の力』(共著、ワールドフォトプレス、2001)、『藁塚放浪記』(石風社、2005)、『世間遺産放浪記』(石風社、2007)などの本にまとめていきます。

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藤田さんが記録してきた世間遺産も、全国各地で少しづつ失われつつあります。
いいものは残したい。でも、止めることができない。
その現実に対して藤田さんは、「成仏できるように、1枚1枚心を込めてシャッターを切り、それらの記憶を残すための触媒になりたい」と語ります。

藤田さんの言葉は、行動し続けた者だからこそ、持ちうる力強さと優しさに満ちています。
人との出会いに支えられ、出会いがまた新たな旅を生んでいく。
藤田さんの世間遺産放浪記は、これからも続いていきます。