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レポート 2009.10.26

交流支援プログラムレポート5 「プライベートを、パブリックに変える幾十の方法」

各地域間の自発的な交流を促すために、AAF2006より実施している「地域間交流プログラム。各地の現場やまちの空気にふれながら、担当者同士あるいは実行委員と担当者がお互いの現状をゆっくりと話し合い、アイデアやノウハウの交換を行う、交流の場が全国各地で生まれています。AAF2009の交流支援プログラムレポート第5弾は、「應典院寺町倶楽部 築港ARCプロジェクト」(大阪)と「hpm市民ワーキング」(青森)との交流企画をお送りします。

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8/30(日)は、南森町の「208」で住み開きシンポジウムvol.2が開催されました。「208」は住居用マンションを利用した、7人のクリエイターに よって運営されているサロンスペースです。「208」の主宰でもある美術家の 岩淵拓郎さん、青森県八戸市にて中心市街地活性化事業に関わっている今川和佳 子さんのお二人をゲストにお迎えして、それぞれ興味深いお話をいただきました。   

岩淵さんは「住み開きとしてのホームパーティー」について語ります。70年代以降の日本のホームパーティーは、奥さんがご主人の同僚をもてなすような、日本の伝統的「御呼ばれ」の形態が主流であり、「もてなす/もてなされる」という境界がはっきりしていましたが、逆に欧米ではその境界は曖昧で、飲食よりも会話が中心の場としてホームパーティーは機能しているようです。芸や無礼講が前提になって非日常を創出する、日本の「宴会」とは違うということを強調されていました。また、「部屋が狭い場合には鍋パーティーといったように、それぞれの住環境に合った方法を選択することが大事」、「一人知らない人を呼ぶだけで、開いている感じが出てきて面白いかも」と、気軽に楽しくホームパーティーをするための提案もいただきました。ホームパーティーは、「コストをかけず、気軽にできる」「小さな公共が形成できる」など、人によって色々な形で捉えられており、それぞれのニーズに応えられるだけの懐の深さを持っています。「頭でっかちに"住み開き"という考えすぎずに、楽しくやることを第一に考えてほしい」とお話を締めくくられていました。 

次に、今川さんに現在取り組まれている一連の活動についてお話いただきました。市民ホール、レジデンススペース、子育て広場、図書館、ギャラリー、カフェなどの多様な機能を持ち、「市内外に発信していく事で、まちににぎわいが生まれる」ことを目指して建設されている公共施設、hpm。商店街を活用したアートプロジェクト、「酔っ払いに愛を」の事例を紹介されました。今川さん本人が以前に住み開き的なことをされていたこともあり、大阪の「住み開きアートプロジェクト」には大変興味を魅かれていた様子で、今回の来阪時に数カ所を見学されました。。八戸には、既に住み開き的な活動をしている方もいれば、古くから残っている個人商店や旅館といった場を無料で貸してくれる方も多く、潜在的な拠点は豊富にあります。今後は、大阪の住み開きスペースから得たものを地域活性化に還元していければ、とお話されていました。 

最後に、参加者を交えてフリートークを行いました。ここで「大阪で行われている住み開きが、八戸でも成立するのか?という、都会と地方の違いについての問題が大きな論点となりました。地方のコミュニティには地域の人が無断で家に上がってくるようなメンタリティが元来あり、都会よりも「住み開き」的感覚を持ち合わせているのではないかと思われます。しかし、それを「住み開き」という都会的でお洒落な文脈を持つ言葉で規定してしまう事で、逆に地元の人が拒否反応を起こしてしまう事も考えられるので はないかと参加者側から重要な意見が出されました。 それを受けて、築港ARCチーフディレクター、アサダからは「住み開きという言葉を使い始めたために、障壁になっている部分があるかもしれない。言葉や定義に捉われすぎず、八戸に合った方法を試してもらえれば」という発言がありました。おそらく、八戸に適したアプローチをも生み出せるだけのレンジの広さが 「住み開き」にはあると思いますが、それを実現させるためには、岩渕さんがおっしゃっていた「住み開きは一つの捉え方にすぎない」という視点を改めて認識することが必要なのでしょう。 

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<企画概要> 
企画名:
「住み開きアートプロジェクト ~プライベート(自宅や個人事務所)を、パブリック(集いの場)に変える幾十の方法 まずは大阪から~」
 Bプログラム「The 住み開きシンポジウム!vol.2 ~津々浦々の住み開き事例レポート、 そして青森の住み開きから近頃のホームパーティー事情まで!~」 
実施日:8月28日(金)~8月31日(月) 
企画者:應典院寺町倶楽部 築港ARCプロジェクト(大阪)hpm市民ワーキング(青森)

 <タイムテーブル>
 8月28日(金) 
17:00~20:00:招聘団体事務所見学 
会場:築港ARC(大坂市港区築港2-8-24piaNPO308) 
プロジェクトの企画をしている事務所の見学。互いに担当しているプロジェクト の現状報告を行なった。 
21:00~24:00:シンポジウムゲスト顔合わせ 
会場:208南森町(住所非公開) 
シンポジウムのゲスト、美術家/執筆・編集者の岩淵拓郎さんと今川さんの顔合わせ、兼打ち合わせ。お互いの現状の仕事、活動にいたる経緯を確認しあった。 

8月29日(土) 
10:00~12:00:水都大阪2009「水辺の文化座」見学 
会場:中之島公園(大坂市北区中之島) 8/22(土)から開催している大阪でのフェスティバル 水都大阪2009「水辺の文化座」の見学を行なった。 
13:30~14:30:大阪市事業仕分けの傍聴 会場:阿倍野フォンテ(大坂市阿倍野区阿倍野) 大坂市が実施する約50の事業を対象に、民間法人であるNPO構想日本と大阪市の市民アドバイザーが選考委員となり、次年度以降の事業の継続、改善、廃止などを決定する公開会議。今川さんが八戸市の嘱託委員というお仕事をされていることも踏まえ、参加した。 
15:30~16:00:カマン!メディアセンターの見学 会場:カマン!メディアセンター(大阪市西成区太子1-11-6) 招聘者が理事を務めるNPO法人cocoroomが運営する地域交流拠点「カマン!メディアセンター」の見学を行なった。西成地域の現状・課題を伝え、このスペースを設立した経緯や意義を確認した。 
16:00~16:30:英国のホームレスによるオペラカンパニー「ストリートワイズオペラ」のワークショップ見学 会場:大阪市立大学都市研究プラザ 西成プラザ(大阪市西成区太子1-4-3 太子中央ビル3階) 練習を重ねたホームレスがプロの歌手と共に舞台に立つ「ストリートワイズ・オペラ」を英国で主宰するマット・ピーコックさんのワークショップメソッドを見学。 
17:30-20:00:住み開きアートプロジェクト「FLOAT」に参加 会場:FLOAT(大阪市西区安治川2-1-28 安治川倉庫) 音楽家/プログラマ 米子匡司さんのアトリエ兼自宅兼オープンスペースの訪ねた。倉庫を活用した屋内の見学とともに米子さんがこの一年間やってきた企画に関するトークを伺った。 
21:30-22:30:京都のライブハウス「UrBANGUILD」のライブイベント見学 
会場:UrBANGUILD(京都市中京区木屋町三条下がるニュー京都ビル3F) 
米子匡司さんと招聘者が参加するユニット「SJQ」のライブイベントを見学した。 

8月30日(日) 
13:00-17:00:住み開きシンポジウム準備 
会場:208南森町(住所非公開) 
料理や会場演出を今川さんもお手伝い。 
17:30-21:00:住み開きシンポジウム本番 
会場:208南森町(住所非公開)
 1.招聘者から住み開きアートプロジェクトで訪ねた現場についてのふりかえりレポートを行なった。 
2.美術家/執筆・編集者の岩淵拓郎さんが「住み開きとしてのホームパーティー」というお題で、いかにホームパーティーを気軽に楽しく始めれるかということについてのプレゼンを行なった。
3.今川さんが、横町プロジェクト「酔っ払いに愛を」、八戸にオープン予定の八戸市中心市街地地域観光交流施設(愛称:「はっち」)に関する報告、そして今川さん自身が商店街にて試みた住み開き事例と、八戸市職員で演劇人の方の住み開き事例をあわせて紹介した。
4.以上の事例報告を受けた上での質疑応答がなされた。 

8月31日(月) 
10:30-11:00:他の住み開きスペースとして「♭(フラット)」を見学 
会場:♭(大坂市東成区中本3-10-2) 
ランドスケイプデザイナー/役者の花村周寛さんがアトリエ兼稽古場兼別宅として運営しているスペースを見学した。 

<執筆者プロフィール> 
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秋田光軌 
09年6月から、築港ARCにインターンとして関わっている者です。 福祉の仕事をしていることもあり、「アートが地域福祉など、様々な領域に対し てどのようにアプローチしていけるのか」という事に興味があります。