コラム各地からの「もの」便り

vol.12

『“もの”にしたい“もの”』

井壷幸徳さん(NPO法人淡路島アートセンター)
淡路島アートフェスティバル2007兵庫県淡路島

コラム写真
私が淡路島アートセンターの活動
に引き込まれて、3年目を迎えて
います。 はじまりは、淡路島アー
トフェスティバル2005に参加され
ていた伊藤存、大西伸明、中瀬由
央のフィッシングダイアリーの3
人が、淡路島を舞台に生き物マッ
プを作るにあたって、せっかくだ
から“捕まえた生き物たちを食べた
い、誰か?調理してくれないかな
ぁ?“ということで、淡路島アート
センターの自称“淡路島を耕す女”こと、山口くにこさんが“それなら井壷だ!!”ということで訪れたのがきっかけです。

もともと、淡路島の食材を勉強していたので、自分の知らない食材を3人が探してくれるかもしれない、ということで引き受けました。 その後は次々にたくさんのアーティストが訪れるようになり、なかでも紙コップアーティストのLOCOが展開する“お国自慢プロジェクト”“花嫁百景”というプロジェクトの中で淡路島の見過ごしている “もの”、忘れ去られている“もの”、加速して進化してきた“もの”を違う視点で感じ、発見できたことで私の中に新しい“もの”がうまれ、今もなお参加させて頂いている理由のひとつです。

今年は淡路島では『アート回覧板』というサブタイトルの元、自分たちがアートの殉教者となり淡路島の地域コミュニティを重要視したプログラムを展開しています。これは、淡路島アートセンターの存在理念の“もの”のひとつでもあるのですが、『アート』は第三者に“感動”を与えてくれる“もの”であり、それをより多くの人々に伝えていくことが淡路島アートセンターの使命、私たちの活動理由であるという結論から、来て頂くのではなく、こちらから行こうよ!!という発想から生まれた“もの”です。

私は、料理人です。“もの”から“もの”を作ることを生業としています。どう美味しいか?なぜ美味しいか?それは手前勝手のこと、最後にお客様が“美味しかったよ!!”という言葉を聴けることが何よりに幸せ、そうさせるために環境を造るのが私たちの仕事です。

淡路島アートセンターを助けてくれている“もの”は、たくさんあります。
まず、国生み神話の淡路島、その“もの”です。明石海峡、紀淡海峡、鳴門海峡という三つの海峡により世界でも屈指の豊かな環境を創り出しています。その豊かな環境で育まれた人が、次の“もの”です。豊かな食生活の中で育まれ身体も心も健康な“もの”に成るのです。そして、その豊かな心が次の“もの”です。豊かな心がいろいろな“もの”を感じ、与えられる“もの”です。

一つの“もの”ではなく色々な“もの”が、つながり、交じり合い、生まれていく“もの”。そんな“もの”を永続的に“もの”にしていきたいと想います。

まるで、ライフスタイルのように…、それが私の思う『淡路島アートセンター』の大事な“もの”です。




井壷幸徳
1967年、旧北淡町(淡路島)生まれ。イタリアの有名レストランで修行の後、ロイヤルグレースホテル副支配人兼料理長、アルファビア総料理長を経て、2000年L'ISOLETTAを淡路島で開業。2005年より、淡路島アートフェスティバルに参加し、主にフィッシングダイアリープロジェクトに関わる。現在、NPO法人淡路島アートセンター 理事。
井壷幸徳さん