コラム各地からの「もの」便り
vol.8
『除雪機』
SNOWSCAPE MOERE(SSM)は、雪のモエレ沼公園を舞台にしたアートプロジェクトです。
札幌は1月から3月の間はすっぽり雪の中。その1月から2月が会期の中心であるSSM。もちろん主役は「雪」です。雪のある風景、積雪地帯の歴史、雪のもたらす感情、色彩、音・・・雪にまつわる様々な事柄がプロジェクトのテーマとなります。
雪には、儚く、いつか消えてしまう美しさがあります。一方で、雪のある生活は、そう甘くないということもまた事実。SSMのプロジェクトの中でも、雪の村をつくる「スノービレッジプロジェクト」の制作現場はまさに土方仕事で、雪が降った後は一から出直し、なんてことも多々あり、時間も体力も消耗します。
この一筋縄ではいかない「雪」を造形するのに駆使しているのが、「除雪機」です。積雪地帯にお住まいの方なら馴染みの深い除雪機。その名が示すとおり、雪を除ける機械である訳ですが、暖冬の今年は雪を集めるのにも使用しており、SSMには欠かせないモノです。
除雪機
除雪機にも道路用の車両タイプ、家庭用の手押しタイプなど種種ありますが、プロジェクトで多用するのは、手押しの中型タイプ。当園で歩行者用の道を造るのに使用しているのと同型−つまり業務用です。前面のロータリーが回って勢いよく雪を吹き飛ばして行きます。これは、SSMがはじまって以来の大活躍。1年目は雪原にある村へのアプローチ作りに、2年目はアプローチ作りもさることながら、雪でドーム型の洞窟を制作した『Artificial Cave』に力を発揮。水に浸した雪を骨組みに吹き付けていく手法を編み出し、頑丈な雪の洞を完成させるのに一役買いました。3年目にもきっと活躍してくれることでしょう。
左:作業風景 右:Artificial Cave
雪の中に響くエンジンの音。彩度の低い、光ばかりが瞼に焼き付く世界に舞い上げられる雪。力強く雪原を切り開くその様は、開拓された北海道の歴史と一瞬重なって、また新たな村を切り開いていくのです。
- 宮井和美
- 1978年生まれ。生まれも育ちも北海道。2003年よりモエレ沼公園に学芸員として勤務。寒いのは、実は苦手。ただいま今冬開催SSM IIIの準備中。